「幼児教育無償化」では私立幼稚園も無償になる?現場の声とママの声 - cocoiro(ココイロ) - Page 3

パパ・ママの声

保育士の待遇改善を優先してほしい

保育士の仕事は拘束時間も長く体力的にハードにも関わらず、平均給与は月20万円程度です。小規模施設の場合は給与水準がさらに低くなる傾向があります。

Twitter でつぶやく保育士からは、悲痛な声が聞こえてきます。

志ある保育士が辞めざるを得ない状況が、保育士の慢性的な不足を招いています。保育士の働きぶりを毎日目の当たりにしている保護者は、保育士の給与アップを心から願っています。

大切な子供を預ける保育園です。保育士が疲弊している保育園には預けたくないという気持ちは、どの保護者も同じでしょう。政府は保育士の給与を月額約3,000円上げるとしています。しかし、10月に消費税が8%から10%に増税される中、月額3,000円の給与アップで効果が上がるのか疑問視する声が上がっています。

保育士の業務を簡素化するべき

保育士の給与改善だけでなく、業務の簡素化を求める声も聞かれます。
慶応義塾大学総合政策学部の教授・上山信一が公立保育園の実態調査をしたところ、保育士の勤務時間の23%は書類作成などの事務作業に費やされていました。しかも、父母の記入間違いの書き直しや計算のやり直し、さらには書式の不備などで書き込みに苦労するなど、非効率な作業に大きな時間が消えていました。

保育の現場では日常の作業に追われ、旧態依然の仕事のやり方が見直されることなく継承されてしまっています。まずは、事務作業の電子化・簡素化を促すことで、残業体質をある程度改善することができるのではないでしょうか。

非効率な書類作成以外にも、行事の多さが保育士の業務の負担になっています。

季節ごとの行事は、文化の理解や社会性の確立など、就学前の子供にとって重要な学習機会になります。しかし、本来の目的を逸脱して、必要以上に時間を使っていることがあるのも事実です。

以下は、NPO法人日本保育士研修センターのつぶやきです。

まず認可施設に入れるようにしてほしい

Twitterの「#保育園落ちた」には、子供が保育園に入れなかった保護者からの悲鳴が上がっています。

幼児教育無償化の前に、誰でも保育園に入れるようにしてほしいというのが、保護者の本音です。政府は「子育て安心プラン」を前倒しして、2020年度末までに32万人分の保育の受皿を整備するとしています。しかし、受皿だけを増やしても保育士の数が増えなければ、保育の現場はさらに疲弊するでしょう。

無償化は高所得者ほど恩恵が大きい

現在、保育料は保護者の所得によって算出されています。市町村民税非課税世帯の場合は第2子から無料(ひとり親の場合は第1子より無料)、年収約360万円未満の世帯の場合は軽減措置があります。10月からの幼児教育無償化は、それを所得に関係なく無償にするもので、所得の高い世帯ほど無償化される額が大きくなります。Twitterでもその仕組みに疑問の声があがっています。

まとめ

少子高齢化が進む中、安心して子供を産める環境を作ることは国の最優先課題です。子育て世代の最大の懸念である教育費に関する不安を取り除くことが、少子高齢化にとって効果的なことは誰もが認めるところでしょう。しかし、すべての人を対象とした幼児教育無償化が優先されるべき政策なのか、多くの人が疑問に思っています。

参考

保育士の年収を詳しく解説します!年収は300万円~340万円でした。|平均年収.jp
保育士たちを非効率な「書類作り」から解放しよう――カタチから入る待機児童対策|Yahooニュース
幼稚園、保育所、認定こども園等の無償化について|厚生労働省
『<保存版>幼児教育・保育の無償化』を公開|WELKS
私立幼稚園の幼児教育無償化 いつから?対象者・内容|新児童手当まとめサイト
幼稚園無償化の最新情報 2019年10月スタート決定!専業主婦家庭は預かり保育有償に【2018/6/13更新】|おーるあばうと幼稚園
保育園・幼稚園の幼児教育無償 最新情報|子どもがいっぱい笑ってる
「幼児教育無償化」いつから?2019年10月開始予定!制度の所得制限や対象の年齢について【ママの口コミも】|HugKum【小学館公式】
#保育園落ちた|Twitter

この記事をかいた人

Sachiko

海外在住20余年、子育て・教育ライター。明治大学政治経済学部卒業。中国へ2年間留学。中国北京の日系広告会社で営業マネージャー。 結婚・出産後、北京で専業主婦。夫の転勤に同伴したフィジーで、アジアの女性のためのソーシャルグループ代表を務め、文化交流イベントを企画運営。2018年より、インド・デリー在住。ライターとして活動を始める。中国語HSK6級。TOEIC945点。中国生まれ、フィジー育ち、デリーで思春期を迎えた1人息子の母。 中国時代から共に過ごす老犬の介護中。