帰国子女として育つデメリット
帰国子女として育つ場合、デメリットもいくつか考えることができます。ここでは2つのデメリットをご紹介します。
日本人とコミュニケーションしにくくなる
日本人とのコミュニケーションの際に、帰国子女であることがデメリットになるケースもあります。それはやはり言葉の問題です。英語の場合、日本語によく見られる曖昧な表現というものがありません。そのため、どうしても言葉がきつく聞こえてしまうことがあります。
日本語の曖昧な表現というのは、日本語の素晴らしい文化習慣の1つでもあるのですが、言語文化の違いというもので、コミュニケーションがうまく取れないということも考えられるのです。
言葉をうまく扱えないセミリンガルになることも
バイリンガルとは、母国語と同じレベルで第二外国語を扱うことができる人のことを指します。それに比べてセミリンガルとは、母国語も第二外国語も年齢相当のレベルに達していない人のことを言います。
例えば、これから日本語を本格的に習得するという5歳くらいの年齢で外国に行ってしまった場合、5歳まで培ってきた日本語のレベルは一旦据え置きになり、新しい地での言語が優先されます。
日本語という母国語をきちんとマスターしていない状態であればあるほど、帰国したときのギャップは大きなものになります。漢字やカタカナが書けない、文章が作れないといった弱点やコンプレックスになってしまう可能性があるのです。母国語である日本語もうまく扱えない、第二外国語も年齢よりはレベルが落ちるといったセミリンガルになることもあります。
帰国子女として子供を育てるポイント
帰国子女として子供を育てるときには、どのようなことに注意しなければいけないのでしょうか?
海外に居ても日本文化に触れさせること
本当の意味でのバイリンガルに育てるには、母国の言葉や文化を年齢相当のレベルで習得することが必須となります。外国へ行った場合、どうしてもその土地に慣れるために外国の文化や言葉に気を取られてしまいますが、まずは母国である日本の文化や言語をきっちりと習得させることがとても重要です。
立命館大学・大学院言語教育情報研究科教授の田浦秀幸は、自身の体験も踏まえてこう述べています。
日常会話力と年齢相応の学習言語力とは全く別物です。そのためご家庭においては日本語維持のために、日本人・日本語のコミュニティーをしっかりと活用したり、日本固有の文化行事を体験させてあげたりすることも大事です。
(引用元:みんなが知りたい! 「バイリンガル」の育て方 ~本当に大切なのは外国語ではなく「母語」~|Spring)
海外にいても、家庭では日本語でコミュニケーションを取ったり、日本ならではの伝統や文化を親が進んで子供に伝えていくという姿勢が必要不可欠なのです。
子供の負担を考えること
子供は環境の変化に順応するのが早いと思われていますが、子供は子供なりになじむために必死に努力していることを親は知っておかなくてはいけません。幼少期から異国の文化に触れることで、人間形成の過程で大きなメリットもありますが、毎日の生活の中で子供に大きな負担を強いてしまうこともあるのです。
文化や言葉の違いからいじめを受けていたり、一種のホームシックのように日本での生活に未練があったりする可能性もあります。子供は親に心配をかけまいと必死に頑張っているのです。
言葉の習得だけではなく、環境の変化や文化の違いに子供が戸惑っている姿が見られたら、無理強いをせずに余裕を持った対応ができるように心がけてください。