スーパーサイエンスハイスクールに進学するメリットとデメリット
メリット:科学技術を磨ける!
スーパーサイエンスハイスクールに進学する最大のメリットは、科学技術力を磨けることです。
文部科学省から特別予算を得ているため、公立高校では出来ないような経験を積むことができます。学校の課題によって取り組み方は様々ですが、海外研修を行ったり、大学との交流をしたり、研究発表会があったりと、科学的な思考力を育む機会に恵まれます。
また、科学技術の研究を進めることで、英語の資料を読んだり、プレゼンテーションをして論理的に話をしたりする力も同時に身に着きます。
デメリット:課題研究に時間を取られる
逆にデメリットは、課題研究に時間を取られるため、そのほかの学習時間が確保しづらいことです。
スーパーサイエンスハイスクールの事業概要に明記されている通り、指定された以上は、学習指導要領の枠を超え、理数を重視した教育課程の編成が求められています。そうなると、授業の構成自体が一般的な高校よりも理数系に偏ることになります。そのため、受験科目に沿った教科にまんべんなく時間を割くのが難しくなるのです。有名私立高校が、スーパーサイエンスハイスクールに参加していない一因として、受験対策が難しくなることが挙げられています。
しかし、文部科学省が発表した2015 年3月に発表した「スーパーサイエンスハイスクール事業の俯瞰と 効果の検証」図表 6-1.c 図表 6-1.dによると、スーパーサイエンスハイスクールの四年制大学理系学部への進学率は、一般校の生徒に比べて男子は約2倍、女子は約3倍であるという結果が読み取れます。さらに、スーパーサイエンスハイスクール生徒の大学院への進学希望率は一般校の生徒に比べて約3倍であるという結果もあり、理数系への興味関心が高まっているという裏付けになっています。
スーパーサイエンスハイスクールの成果
2022年度からの新学習指導要領では、「理数探求」「理数探求基礎」が新科目として加わります。これは、スーパーサイエンスハイスクールが掲げている、主体的・協働的な学びや自主研究の取り組みの一つの成果です。研究発表や生徒の声、意識調査から成果をご紹介します。
研究発表から
毎年夏に開催される生徒研究発表会では、自分たちの1年間の研究をまとめたポスター発表があり、その後に全体で発表する学校が選出されます。発表内容は非常に高度で、2018年度の文部大臣科学賞になった鹿児島県立国分高等学校の発表テーマは「幸屋火砕流の影響から7300年立ち直れていない? ~大隅諸島のエンマコガネと幸屋火砕流の関係~」です。その他にも「プラズマによる流体制御の研究」「ユリの花粉管誘導Ⅱ ~誘導を無視して伸びる花粉管の謎~」など、大学生顔負けの発表が行われています。
また、海外との連携も進んでおり、生徒研究発表会には海外からの参加校もいます。他にも、フランスやイタリアの学会で発表を行ったり、英国物理学会発行の雑誌に論文が掲載されたりと、国や地域を越えた取り組みも成果としてあげられます。
実際に通っている生徒の評価
スーパーサイエンスハイスクールの生徒研究発表会に参加した生徒たちの声を集めてみると、プレゼン力、英会話力、多角的思考力、忍耐力、国際的な視野が広がるという意見が多く述べられているようです。
実際の研究は1人ではすることができず、チームで行っています。その中で、協働しコミュニケーションを取りながら、お互いの足りない部分を補い合っていく研究過程が大切です。科学的な知識や多角的思考力以外にも、人間関係を構築するための社交性や人前で発表をする自信をつけることができるようです。
まとめ
スーパーサイエンスハイスクールへの進学は、国から特別予算が確保されていることやカリキュラムの編成、集まってくる生徒という面から考えると理数系の力をつける環境が整っていると言えるでしょう。
お子さんの興味を尊重して、理数系を伸ばしたいと思うのであれば、スーパーサイエンスハイスクールを選択肢に考えることができます。夏に開催される生徒研究発表会をはじめ様々な発表会が行われていますので、一度見学することをおすすめします。
参考
発表会一覧|国立研究開発法人科学技術振興機構
次世代人材育成事業|国立研究開発法人科学技術振興機構
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)|文部科学省