近年、『リトミック』という言葉をよく聞く人も多いのではないでしょうか。リトミックとは教育法の一つで子ども達の聴力や感性を伸ばすことはもちろん、基礎能力の成長にも効果があり、子ども達が持っている「潜在的な基礎能力の発達を促す」教育と言われています。当記事ではそんなリトミックについてご紹介します。
リトミックとは何か?
リトミックとは、簡単に言うと音楽に合わせて手遊びや体操、楽器を鳴らしながら体でリズムを覚えることが特徴の音楽教育です。音楽教育家のエミール・ジャック・ダルクローズによって開発されました。
リトミックが開発される前まで、音楽教育は音符の読み書きや楽器の弾き方など技術的な練習方法が多く、幼児に教えるには不向きでした。しかし、リトミックは音符や楽器の引き方など技術的なことから学ぶのではなく、手や楽器やダンスなどでリズムに乗りながら覚えるので、幼児にも教えやすくなっています。
日本では、明治時代からリトミックを取り入れられてきましたが、本格的に教育に取り入れられるようになったのが板野平氏が戦後にニューヨークで学び、音楽国立大学の専門課程において教鞭を取ったことで広まりました。リトミックの教育方法は音楽の音符を組み合わせて考えて学ぶのではなく、音楽を聞いたり表現することで感じられるのが特徴です。
リトミックで得られる3つの効果
さまざまな教育方法がある中でも、リトミックは音楽を感じ取る教育方法であるため幼児でも簡単に楽しく学ぶことができます。ここでは、リトミックで得られる効果とその理由についてご紹介します。
協調性・社会性など人との意思疎通能力が向上する
リトミックは、友達や親、先生などと一緒に取り組むことで、コミュニケーション能力や集団行動の重要性を養うことができます。
人それぞれ感じ方や捉え方が違うので、同じ音楽でも違う踊りをすることがあります。子供は自分と友達の踊りの違いを見て、「あの人はすごい」、「こんな踊りをするんだ」などと尊敬する気持ちやチャレンジする心を持ちます。
リズム感や即時反応など身体能力が向上する
リトミックには音楽を通じて運動能力を向上させる効果があります。
例えば、水泳や陸上ではリズム感が必要とされています。このリズム感はリトミックによって養うことができるため、スポーツをさせたいお子さんがいた場合は効果的です。
また、音楽に合わせて体を動かし、表現させることで基礎体力の向上やリズムに合わせて踊る表現力も身につけることができます。
内側と外側、両方の集中力が鍛えられる
集中力の中には、内的集中力と外的集中力があります。それぞれ生きていくうえで必要なものですが、一朝一夕で発達させることは難しいものです。
子供の頃からリトミックを実践することで、長期に渡って内的集中力と外的集中力の両方を鍛えることができます。
内的集中力とは
内的集中力とは自分の頭の中で考えていることで、気持ち、考え、イメージ、筋肉、呼吸など日常生活で無意識に取る行動につながるものです。例えば、物事をイメージすることや順番を考えたりするなどが内的集中力にあたります。リトミックは聴くだけでその音楽がどんなイメージであるか考えることで鍛えることができます。
外的集中力とは
外的集中力とはその名のとおり、外側に集中させることです。視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚の五感が外的集中力に当たります。リトミックで感じ取る力が強くなることでお子さんの成長過程を短くすることができます。