子供の「学び直し」を後押しする「エンパワメントスクール」とは? - cocoiro(ココイロ) - Page 2

エンパワメントスクールのカリキュラムとは?

エンパワメントスクールのカリキュラムとは?
学び直しのできる高校、エンパワメントスクール。具体的には、どのような授業が行われているのでしょうか。特徴的なものをご紹介します。

1コマ30分授業

1年次の「教科書にとらわれない基礎科目」では、1コマ30分で授業が実施されます。一般的な高校の1・2時間目にあたる時間帯に、毎日英語・国語・数学を30分ずつ学ぶという取り組みです。

長い授業で、理解できない内容が続くと、授業を受けているのが苦痛になります。授業中に寝てしまったり、サボってしまったりすると、さらに授業に置いていかれることになってしまいます。1コマ30分授業は集中力が途切れることを防ぎながら、繰り返し学ぶことで理解を定着させる狙いがあります。

また、1日のうちには「10分学習」の時間も設けられています。ドリルなどの取り組みやすい教材を使い、効率的に学習を進めます。

習熟度別授業

2年次以降の英語・国語・数学は、1クラス15人程度の習熟度別授業になります。同じくらいの習熟度の生徒が集まるのでむらが少なく、教師の目も行き届きやすい人数の授業です。3年次の選択科目も含めて、希望進路に沿った指導を受けやすいのも特徴です。

エンパワメントタイム

「産業社会と人間」「選択科目の一部」「総合的な学習の時間」を使った「エンパワメントタイム」という課程が存在します。これは「正解が1つではない問題」について取り組む時間です。グループ学習でコミュニケーション力を伸ばしたり、チームワークを身につけたりします。

デュアルシステム

エンパワメントスクールの取り組みが始まった2015年から設置されている箕面東高等学校では、「デュアルシステム」というキャリア教育課程があります。この授業を受けると、半分が企業実習、半分が学校でのキャリア教育になります。座学だけではなく、実地体験も単位として認定される仕組みです。就職を希望する生徒にとっては、早くから実際の仕事の現場を知り、進路選択に生かせるというメリットのある授業になります。

大阪以外の親子ができる取り組みは?

義務教育課程でつまずいてしまった子供たちにとって、やり直しの大きなチャンスとなるエンパワメントスクール。ただし、設置されているのは大阪府のみです。それでは、他地域の親子は同様の問題にどのように取り組めば良いのでしょうか?

高校入学前が大切

義務教育段階で授業についていけなくなる子供をどうすれば良いのか。この問題は、専門家の間でも議論になっているようです。高校は3年間ですが、その前の義務教育は9年間。この間につまずいてしまうと、9年間分の「できない」「分からない」が積み重なることになります。エンパワメントスクールで9年間分を一気に取り返すより、1学年ごとに課程をしっかり理解を進めていけたほうが、子供の負担も少なくて済みます。

学校に通っていれば卒業できるのが義務教育。しかし、その中で学ぶ内容は、本来子供がその後生きていくために具体的な助けになるものです。専門家の中からは、義務教育で学ぶ内容を見直したり、子供がきちんと習得できているのかしっかりと測定する制度を作ったりする必要があるのではないかという指摘も出てきています。

子供を「たらい回し」にしない心構え

では、高校入学前を大切にする方法にはどんなことがあるでしょうか。「塾に行く」というのは1つの選択肢です。しかし、塾でも授業についていけず、取り残されてしまう子供もいるようです。塾で落ちこぼれてしまう子供は、学校の授業にもついていけないでしょう。外部だけに任せておくと、親が思っている以上に子供の勉強が遅れていた……ということにもなりかねません。

仕事も忙しく、帰宅したら食事を作ったり、洗濯をしたりして、なかなか子供の勉強を見てあげるまで手が回らない、そんな親も多い現代。親に必要なのは、「子供をたらい回しにしない」という覚悟なのかもしれません。毎日ほんの少しだけでも、学校の勉強について聞いてみたり、宿題を見せてもらったりしてみるところから始めてみましょう。子供がどこにつまずいているのか、どこに手助けを必要としているのかが分かれば、具体的な解決方法も探しやすくなります。

まとめ

勉強についていけなくなった子供たちのために、学び直しの機会を提供するエンパワメントスクールの取り組みをご紹介しました。大阪府の高校中退率は改善するのかどうか、子供たちの進路は充実するのかどうか。数年のうちに効果が見えてきそうです。

エンパワメントスクールのような取り組みが必要になってくる背景には、子供たちが学校の勉強から置いていかれてしまい、それを周りの大人が気づいてあげられない、助けてあげられないという現状があります。子供たちは静かにSOSを発しているかもしれません。親が子供と向き合い、見守っていることを伝えるのが、何よりの救いになるのかもしれません。

参考
エンパワメントスクールに関すること|大阪府
学び直しができる高校、大阪府の「エンパワメントスクール」とは?|通信制高校ガイド
01_エンパワメントスクール3校共通概要.docx|大阪府
エンパワメントスクール|大阪府立箕面東高等学校 – 大阪府教育センター
エンパワメントスクール Q&A |大阪府教育センター
成城高等学校 口コミ|みんなの高校情報
中央教育審議会初等中等教育分科会(第31回)議事録[資料2]|文部科学省
落ちこぼれはなぜ生まれるのか?生まれる理由と解決法|西原塾: 落ちこぼれ中学生・高校生のための個別指導塾 塾長ブログ

この記事をかいた人

akahoshitomoka

piggiesagogoクロシェター・ライター。 オリジナルの編み物作品の作り方を販売しながらライターもしています。守備範囲はハンドメイドから不動産まで。三浦半島が好きです。