語彙力という言葉はよく耳にすると思いますが、語彙力という意味をちゃんと説明できる人はどれくらいいるでしょうか? 漢字が読めなかったり言葉の意味が分からなかったり、そんな状況のときに「語彙力がなくて」などと笑いながら、なんとなく会話で使っている人が多いかもしれません。
語彙力がないということは、単純に国語が苦手という話ではありません。語彙力はコミュニケーションをとる上では必要不可欠な力。つまり、語彙力がないということは生活に欠かせない人間関係で上手に立ち回れず損をすることになるかもしれません。
当記事では、語彙力とはどんな意味を持つ力か、語彙力がない人にはどんな特徴があるか、語彙力のない人に育ってしまう原因は何か、子どもの語彙力を高めるにはどんな方法があるかについて解説していきます。
もくじ
語彙力とは
語彙力とは、「どれだけの言葉を知っているか」という意味を指します。
単純にいろんな単語を知っている人は語彙力が高いと言えますが、その人に語彙力があるかどうかは、会話の中で如実に現れます。語彙力がない人の会話は内容が薄く、知っている語彙が少ないばかりに、回りくどい言い方になることが少なくありません。
語彙力がない人の特徴
語彙力がないということは、つまり「分からない言葉が多い」ということです。日常会話をしていて、言っている意味が理解できないことや、知らない単語と出会うことの多い人は、残念ながら語彙力がない可能性が高いです。
これは一例ですが、その他にも、語彙力がない人には以下のような特徴があると言われています。
本や文章の意味を理解できない
語彙力がないということは、本や文章の意味や意図を読みとれないということです。せっかく勉強しようと思って本や教科書を開いても、語彙力がないと書かれている内容を理解できません。これでは勉強の効率が悪くなっていまいます。
「語彙がなくても、数字が好きだから算数や数学の力を伸ばせば大丈夫!」と考える人もいるかもしれません。しかし、近年の算数や数学には文章問題が増えてきており、語彙力がないとこれらの問題につまづき、点数が伸び悩むというケースも少なくありません。また、大学に進んでからは論文などを読む機会が出てくるので、やはりどの分野においても、最低限の語彙力はあった方が良さそうです。
コミュニケーションを取るのが苦手
語彙力がない人は話が長く、回りくどい表現が多くなる傾向にあります。話をまとめる適切な表現や妥当な言い回しを知らないと話が長くなっていきます。
結果として、語彙力がないことが話の要点をまとめることの苦手につながり、円滑なコミュニケーションの妨げとなってしまいます。
語彙力がない人は、どうしても話が長くなってしまいがちなのです。自分の知っている単語や表現の幅が狭いため、同じ単語を何度も使ったり同じ話を繰り返したり、結果的に話が長引いてしまいます。
語彙力がない原因
あらゆるシーン特にコミュニケーションにおいてとても重要な語彙力ですが、ではなぜ人によって語彙力の差が生まれるのでしょうか?
実は、語彙力はさらに下記2種類の力に分けられます。
- 認知語彙
- 全体の文章から何となく意味を推測、理解できる言葉の範囲
- 使用語彙
- 自分で理解し、使いこなすことのできる言葉の範囲
語彙力がないと一括りにされている人であっても、原因が認知語彙にあるか使用語彙にあるかによって、原因や対処法が変わってきます。
ここからは、語彙力がない原因について、認知語彙と使用語彙に分けて解説していきます。
言葉に触れる機会が少ない
語彙力がない人は圧倒的に本を読んでいないと言われています。本を読むことで、人は普段自分が使わないような言葉に接することができ、その分だけ語彙力も高まります。本などで新しい言葉・表現に触れない人は認知語彙の範囲がほとんど広がりません。
逆に、本を読まないということは、さまざまな表現や文体に触れる場を逃しているということ。語彙力が、自分だけの範囲にとどまってしまいがちです。
人は活字から知識や教養、考え方や表現方法などさまざまなことを学びます。言葉に触れないでいると、本当に少ない自分の表現方法しか使えなくなってしまうのです。
知らない言葉をそのままにする
語彙力がない人の多くに共通していることが、分からないことをそのままにしているということです。語彙力というものは知らない言葉に出会うたびに上がっていくもののはずなのですが、語彙力がない人は知らない言葉を調べない傾向があります。
知らない言葉に出会って語彙力を高めるチャンスが訪れても、その言葉の意味を確認しないので、認知語彙の範囲はそのままになります。
このように、語彙力のない人は語彙力を高める機会を逃していることが多いのです。
自分の考えを言葉で伝えようとしない
語彙力がない人は、自分の考えを言葉で伝えることが苦手です。
言葉ではなく、ボディーランゲージや身振り手振り、こそあど言葉などを使ってコミュニケーションをする習慣があると、意味を言葉で伝える機会が減り、使用語彙の範囲が広がらないため、自分の考えを言葉で伝えるのが苦手になります。
英語の分からない日本人が身振り手振りでコミュニケーションをするのはしょうがないですが、日本語のわかる日本人が身振り手振りでコミュニケーションを取ることは習慣化しない方が良いでしょう。
このように、「言葉に触れる機会が少ない」「知らない言葉をそのままにする」「自分の考えを言葉で伝えない」など、ちょっとした習慣が語彙力がない要因になるのです。