生き抜く力「想像力」を身につけるために、子供と実践したいこと - cocoiro(ココイロ) - Page 3

想像力を伸ばすには:子供には遊びが重要!

それでは想像力を伸ばすには、いったいどのような取り組みが必要なのでしょうか? 子育ての中で実践できる取り組みを集めてみました。

楽しく読書しよう

小さい子には読み聞かせ

まず取り組んでみたいのは、読書です。文字を自分で読めるようになる前の小さい子供には、大人が読み聞かせをしてあげましょう。本屋さんに行っても、たくさんの絵本がありすぎてどれを選んだらいいか分からないということもあるでしょう。そんなときは、「古典」と呼ばれる作品から始めるといいそうです。

優れた絵本を選んで子どもに手渡すことこそが、子どもを育てる大人の役目だと理解しなければならない。選書の目を養うには、「試金石」となる本に数多く親しむことが必要である。「試金石」となるのは、やはり、時代の評価に耐え抜いてきた古典と言われる作品だ。

(引用元:引用元:子どもの成長と絵本:子どもの翼がはばたくために 神戸常盤大学紀要 第4号 2011|神戸常盤大学機関リポジトリ

『ちいさいおうち』(岩波書店)や『ひとまねこざる』(岩波書店)は、小さいころに読んだ、もしくは読んでもらった、という人も多いのでは。生き生きとした描写やカラフルな絵が、子供の想像力を伸ばすお手伝いをしてくれます。頑張って文字を読めるようになったり、難しい言葉を覚えたりするのを頑張らなくても大丈夫です。絵を見ながら、「これはどんなお花かな?」「この子はなんで笑っているのかな?」と、本文に書いていないことも子供と一緒に想像しながら絵本の世界を楽しんでください。

ファンタジー小説は想像力を掻き立てる

実際には存在しない生き物やものごと・魔法などの不思議な力が描かれるファンタジー小説。文字が読めるようになった小学生以降の子供たちは、よく夢中になって読んでいます。現実の世界からはほど遠いように思えるファンタジー小説ですが、実際には子供たちの想像力に働きかけ、成長を促す役割も果たしています。中学校の司書である小幡章子さんは、ファンタジー小説が子供に与える影響を、以下の3つにまとめています。

望ましい欲求充足を与えること
思考力を積極的に使わせること
白昼夢的欲求との付き合い方の参考になること

(引用元:『影との戦い』に関する一考察:思春期の子どもが物語を読むことの教育的意義を探る 皇學館大学紀要56輯|皇學館大学学術リポジトリ

少しずつ大人へと成長していく年頃の子供たち。ファンタジー小説の登場人物が繰り広げる旅や戦いなどの物語に感情移入したり、その先の展開を予想したりしながら、主人公と一緒に成長していくことができます。文字と挿絵という限られた情報の中から、生き生きとした世界を思い浮かべることも、想像力のトレーニングとなります。

小幡章子さんおすすめのファンタジー小説は、『影との戦いーゲド戦記1』(岩波書店)だそうです。

自然と親しんで遊ぶ

読書だけでなく、体を動かして遊ぶことももちろん想像力を伸ばしてくれるものです。特に、自然にある何かを使って遊ぶのは、小さい子供から大人まで楽しめるやり方です。葉っぱや木の実を拾っておままごとの道具にしたりするのは、たくさんの人が経験する遊びではないでしょうか。白い砂をごはんの代わりにするなど、何かを別のものに見立てるのも立派な想像力です。

小さい子供の場合は、親やまわりの大人から言われたことが遊びの中でも大きく影響するようです。ある論文を紹介しましょう。論文に出てくる3歳の男の子N君は、ドングリがたくさん落ちているのを見つけました。

見つけては「どんぐりだ」と、大きな声を上げていたが、Nはそれらの実を拾おうとしなかった。「ポケットに入れないの?」と聞くと、「このままにしておくと。またどんぐりの木になるから、拾わない」といった。

(引用元:引用元:秋の植物とかかわり合う子供達の想像力 The Imaginative Power of Children Playing with plants in Autumn 聖徳大学研究紀要 第二分冊, 短期大学部(I) 28, 95-102, 1995-12-12|CiNii

この論文の著者は、N君は大人や年上の子供に以前にそう言われて、ドングリを拾わなくなったのではないか、と考えています。大人は子供の安全には十分に配慮しなくてはいけませんが、興味関心を狭めるような干渉をするのはできるだけ避けたほうが良いと書かれていました。