子どもの頭の良さを数値化する方法として、IQ(知能指数)と呼ばれる指標があります。一般的にIQ(知能指数)が高い子どもは知能が高くて賢いとされています。ではそもそもIQ(知能指数)とはどのようなものでどのように検査されるのでしょうか?今回はIQ(知能指数)について詳しく解説します。
もくじ
IQ(知能指数)とは?
IQ(知能指数)とはIntelligence Quotientの略で、人の知能レベルを数値化したものです。知能検査と呼ばれる専門的な検査を受けることで測定できます。平均値を100として、IQ=90〜110は普通、90以下は知的発達が遅れている、110以上は知的発達が進んでいると解釈するのが一般的です。
最近では子どもでも知能検査を受けることができ(2歳ごろ〜)、子どもにあった教育や学習方針を見つけるための手段としても注目されています。
IQ(知能指数)が高い人の特徴
会話の理解度が早い
IQ(知能指数)が高い人は、会話の流れを掴んだり相手の言わんとしていることを汲み取る力に長けています。相手が発した言葉から今の会話、今の議題に必要であろう情報を自分の中で判断して取捨選択することができます。情報処理スピードが高いため、「どんな内容について話せばよりスムーズなやり取りができるだろうか」「次に伝えるべき内容はどれだろう」と考える思考力も優れているのです。
ほかの人が何時間もかけながらやり取りする内容も、IQが高い人は瞬時に判断できるため話し合いの時間も少ない、という傾向に。母親から、「遊ぶ前に宿題をやりなさい」と注意された場合、「なぜ宿題を先にやらなければならないのか」言葉の裏にある意図を考え、実行に移すことができるのです。
状況に合わせた柔軟な対応ができる
思いがけぬアクシデントやスケジュール通りにことが進まなかったとしても、その状況を解決するためにベストな方法を導き出すことができます。
「◯時から友達を遊ぶ約束をしていたのに、母親にお使いを頼まれて約束の時間に間に合いそうにない」「学校の宿題に時間がかかって遊びたくても遊べない」など、予期せぬ事態や自分の思い通りにならないことがあっても、柔軟に対応していける力を持っているのです。
感情的にならず冷静に対処できる
「友達に嫌味を言われて頭にきてカッとなってしまう」「間違いを注意されると、自分を全否定されているように思えて逆ギレしてしまう」など、誰でも感情的になることはあるものです。
しかし、IQが高い人は怒りや悲しみなどネガティブな感情を出しても、根本的な課題解決にはならない、ということを理解できます。自分や相手が今抱えている「感情」ではなく、そうなってしまった原因と次に同じミスが起こらないようにするにはどうすべきか、冷静に対処できるのです。そのため、IQの高い人は、周囲から「クール」「ポーカーフェイス」「冷静沈着」といったイメージを持たれやすい傾向にあります。
論理的思考
先生から「◯◯ちゃんは◯◯についてどう思う?」と聞かれた場合にも、「◯◯だと思う。だって◯◯だから」と答えと結論の順番で受け答えすることができます。また、なぜそれが好きなのか、AとBの2つのうちどうしてAを選んだのかをロジカルに説明できるのです。
多くの人は「何となく」で判断・選択しがちですが、自分では気づいていないだけで、そこには理由が必ず存在します。社会に出ると、「アンサーファースト」といって質問に対して結論で話すことを求められます。さらに、相手を納得させるための意味付けも必要となるため、子供のうちからアンサーファーストを身につけておくと、物事の本質を考えた論理的思考ができるようになるはずです。
興味のあるものとないものがはっきりしている
「絵を描くのが得意」「算数や数学など方式に法って答えを導くのが好き」など、人それぞれ得意不得意、好き嫌いはあるのが普通です。IQの高い人は、他者分析はもちろん自己を分析するスキルが高いことから、興味関心の分野がハッキリしているという傾向にあります。
自分のポテンシャルやバリューを最大限に発揮できるものが、何なのか自分を客観的に見る力が備わっていると言えるでしょう。
IQ(知能指数)が低い人の特徴
肥満気味
フロリダ大学の小児科Daniel J. Driscollの教授や研究者たちは、4~22歳までの参加者18名の男女を対象にIQテストを実施しました。国際小児科学会誌「The Journal of Pediatrics」に報告された研究結果の内容を見てみると、肥満原因が不明の子供の大半がIQテストの成績が悪い傾向にあるといことがわかっているのです。
さらに、アメリカの大学でも、メタボリックシンドロームと認定された子供49人と、標準体重の子供62人を対象に能力テストを実施。このテストの結果では、メタボリックシンドロームと認定されている子供は、標準体重の子供に比べてIQ(知能指数)が圧倒的に低いという結果が報告されています。
また、肥満気味のIQが低い子供のほとんどに、集中力やその場の流れや状況に合わせて臨機応変に対応する柔軟性が欠けている、あるいは乏しい傾向であることがわかったのです。
こうした調査結果から、IQの低い人ほど肥満気味であると言われているということ。肥満は知能の発育や心身の成長にも影響を及ぼすことから、食生活を見直す、好き嫌いを克服するなどの改善が必要です。
臨機応変な対応ができない
何かひとつでも思い通りにいかないことがあると、取り乱して感情的になってしまいます。そのため、その場や状況に合わせた臨機応変な対応ができずに、パニックに陥りやすくなるのです。
段取りが苦手
IQの低い人は、「今ある課題」「課題を解決するために必要な方法」「正しく成果に向かうための最短ルート」を冷静に考える思考力に欠けていることから、スムーズな段取りが苦手というものが挙げられます。
友達とおもちゃを買いに行くとしましょう。「おもちゃを買う」という目標を達成するためには、お店の場所や営業時間、自宅からの距離、目的地に向かうまでのルート、移動手段、交通費などさまざまな条件をクリアしなければなりません。
そこで必要となるのが段取りとリスクヘッジです。「もしかしたら◯◯かもしれない」と何パターンもの選択肢を用意しておくことで、目的を達成するための最短ルートと効率的な方法が見えてくるもの。
しかし、IQの低い人は「おもちゃを買う」ことに意識が向いてしまうため、先を読むことがなかなか難しいのです。
他人を信用できない
オックスフォード大学が、一般的信頼と知性の関連性を判断することを目的に、集めた被験者に対して語彙力や読解力を判定する知力テストを実施しました。
この結果によれば、既婚や未婚、家庭環境、収入の高さにかかわらず、IQ(知能指数)が高い人は人を信用する傾向が強く見られたのに対し、IQ(知能指数)が低い人は相手をなかなか信用できない、言葉の裏に何か意図があるのではないかと勘ぐってしまう傾向があるとわかっています。
IQ(知能指数)と流動性知能・結晶性知能の関係
IQ(知能指数)の発達には流動性知能・結晶性知能が深く関わっていると言われています。ここからはIQ(知能指数)と流動性知能の関係について解説します。
流動性知能・結晶性知能とは?
流動性知能と結晶性知能とは、人が持つ知能を2つに分ける考え方で、20世紀、イギリスの心理学者レイモンド・キャッテルによって考案されました。流動性知能と結晶性知能は、それぞれ以下のような働きをします。
- 流動性知能
- 新しいことを学習するときや、新しい環境に適応するための知能。思考力、暗記力、計算力、問題解決能力などに使われる。
- 結晶性知能
- 学校で受けた教育や、仕事・社会生活の中で得た経験に基づいた知能。言葉の分析、単語力、語学能力などに使われる。
IQ(知能指数)との関係
IQ(知能指数)が高い人は、これまで経験した知識を頭の中に体系立てて理解・整理しています。たとえ新しい環境に行ったり新しい学問を学ぶことになったとしても、そこで必要なスキルや知識を普通の人より速く習得できるでしょう。
なぜなら、IQ(知能指数)が高い人は高い流動性知能を持っており、目の前の問題を解決するための方法を効率的に導き出せるからです。一度習得した方法は結晶性知能として頭の中に保持されるので、また同じような問題に直面したとしても、今度は結晶性知能を使って速やかに解決することができます。
このように、IQ(知能指数)が高い人は流動性知能と結晶性知能の両方を上手く使うことで、どんな状況でも適応できるようになります。子どものIQ(知能指数)が高いと、進学や転校、新しい塾・習い事、就職・転職など環境が変わったときの適応も早くなるかもしれません。
下記の記事では、流動性知能・結晶性知能についてさらに詳しく解説しています。
参考
流動性知能とは?結晶性知能とは?頭の回転の良さの秘密、知能としての知識|DCC用語集