最も幸福度が高い働き方は?
以上6つの壁に関する情報から総合的に判断すると、税制上よりも社会保険上の壁について優先的に考える必要があります。
特に130万円の壁は、配偶者の扶養から外れて自身で社会保険料を負担しなければならず手取りが大きく減るという点から、かなりデメリットがあると言えるでしょう。
ただし、計算上153万円からは手取り収入が回復しますので、パート主婦にとって最もメリットの大きい働き方は、年収を129万円に抑えるか、153万円以上稼ぐかの2パターンとなります。
パートで働きながら節税でおトクに
収入を自分で調整して働くということについては分かったが、今後のライフプランについて考えると働き方を調整するだけでは不安、家族の介護などの事情があって収入を増やせる見通しが立たない場合はどうしたらいいのだろう、という方もいることでしょう。
実は、国が推奨する制度で資産形成ができるということをご存知でしょうか。その制度とは、「iDeCo」と「つみたてNISA」です。
どちらも主婦も加入することができ、年収によってはメリットを大きく享受することができます。子供の教育費や住宅ローンなどの大きな出費を控えている方にとって、聞いておいて損はない情報ですので、順に見ていきましょう。
iDeCo
個人型確定拠出年金と呼ばれるもので、個人で運用する年金制度です。利用対象者は国内在住の20歳以上60歳未満の成人で、掛金を60歳になるまで拠出すれば、60歳以降に老齢給付金を受け取ることができる仕組みになっています。
iDeCoには3つの税制優遇メリットがあることがポイントです。1つ目は掛金が全額所得控除されるという点、2つ目は運用益が非課税となる点、3つ目は受給時に所得控除を受けられるという点です。
特に1つ目について、控除の都合上年収を129万円に抑えている主婦の方であれば、5,000円の掛金で、本来かかる所得税や住民税の合計9,000円が控除されます。
課税所得:129万円-65万円-38万円=26万円
所得税:26万円×5%(所得税率)=1万3,000円→所得税は1万円に軽減
※iDeCoの税制メリット 6万円(年間拠出金額)×5%(所得税率)=3,000円
課税所得:129万円-65万円-33万円=31万円
住民税:31万円×10%=3万1,000円→翌年の住民税は25,000円に軽減
※iDeCoの税制メリット 6万円(年間拠出金額)×10%(住民税率)=6,000円
※住民税は一律10%として計算
(引用元:40代パート主婦、iDeCoとつみたてNISA始めるならどっち? | MONEY PLUS)
年間手数料がかかり、引き出しも60歳までできないためデメリットもありますが、長期的な節税に関してはメリットがあると言えるでしょう。
つみたてNISA
続いて、つみたてNISAについてです。金融庁のNISA特設ウェブサイトでは、つみたてNISAについて以下のとおり紹介されています。
つみたてNISAとは、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です(2018年1月からスタート)。購入できる金額は年間40万円まで、購入方法は累積投資契約に基づく買付けに限られており、非課税期間は20年間であるほか、購入可能な商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限られています。
(引用元:NISAとは?|金融庁 NISA特設ウェブサイト)
金額、購入方法、非課税期間のほか商品について制限が設けられているとのことで、一見すると難しそうな印象を受けます。しかし、つみたてNISAは受取時に税金が一切かからないほか、加入時の口座手数料もなく途中解約も可能であることから、iDeCoに比べて使い勝手が良いのが特徴です。
また、収入を抑えて103万円以内で働いているという方は、課税所得がかからないため所得税も0になり、メリットが大きいと言えます。
まとめ
家事や育児に比重が置かれる主婦の方にとって、パートは比較的柔軟な働き方ができつつ収入もしっかり確保できるので、望ましい働き方と言えます。
ただし控除の壁について知識はしっかりと持ち、家庭の事情を踏まえて自分に合った働き方を選択することが必要です。また、iDeCoやNISAなどの資産形成方法もうまく活用すれば、将来への備えと節税ができるのでより安心でしょう。
参考
2020年版/扶養控除・扶養内について簡単にわかる!年収130万の壁って何?|エン派遣
幸福なパート主婦は「年収129万円」or「年収154万円」稼ぐ|講談社
40代パート主婦、iDeCoとつみたてNISA始めるならどっち?|MONEY PLUS