「ヘリコプターペアレント」という言葉を知っていますか? 過保護な親のことを表す言葉として近年耳にするようになってきましたが、ヘリコプターペアレントになりやすい親の特徴とは何があるのでしょうか。今回は、ヘリコプターペアレントの意味や特徴、対処法などをご紹介します。
もくじ
ヘリコプターペアレントについて
数年前から「モンスターペアレント」という言葉がニュースなどでよく取り上げられ、すっかり定着していますが、近年では「ヘリコプターペアレント」という言葉も使われるようになってきました。どちらも過保護な親のことを表す言葉ですが、ヘリコプターペアレントの定義や生まれた背景についてご紹介します。
ヘリコプターペアレントの定義
ヘリコプターペアレントとは、上空を旋回するヘリコプターのように子供を監視し、さまざまなことに干渉して、子供がトラブルに巻き込まれそうになると飛んでいって対処する様子を揶揄した言葉で、過度に世話を焼いてしまう親のことをいいます。親から自立しなければいけない大学生の子供に対しても、何かあればすぐに対処して助けるため、子供の自立を妨げてしまうことがあります。
日本ではそんなヘリコプターペアレントが増えてきており、話題になっています。これまでテレビなどで取り上げられてきた「モンスターペアレント」は、学校や教育委員会に対して理不尽な要求をしたりする親のことをいいました。
しかし、ヘリコプターペアレントは文句を言うのではなく、子供の代わりに問題自体を解決したり、子供の職場や学校についてきたり、普通では考えにくいほど過干渉・過管理な親のことをいいます。このように、子供への愛情が少し逸れてしまう親が近年増えているといいます。
もともとはアメリカで生まれた言葉
ヘリコプターペアレントは、もともとはアメリカで生まれた言葉です。この言葉の由来は、1969年に出版された臨床心理学者のハイム・G・ギノットの著書『Between Parent and Teenager』の中で書かれた言葉が始まりだといわれています。その後、「ヘリコプターペアレント」と言う言葉が広く認知されるようになっていったようです。
アメリカでは「子供に留守番をさせてはいけない」「登下校は迎えに行くこと」など、子供の保護に関する決まりが多くあります。州によって決まりは異なりますが、ある程度の年齢に達するまでは親が子供を見守るように厳しく定められているため、高校卒業や大学進学といった自立すべき年齢になっても干渉を続けてしまう傾向にあるようです。そのため、ヘリコプターペアレントと呼ばれる親が存在し、問題視されてきました。
ヘリコプターペアレントの事例
それでは、具体的にヘリコプターペアレントはどのようなことをするのでしょうか。さまざまなケースがありますが、事例の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 1人暮らしをさせてくれない
- 就職する会社を親が決める
- 就職の面接に同行する
- 結婚相手を決める
- 友人の集まりや恋人とのデートについていく
会社についてきたり、メールの内容を見たり……そういった行為を、子供が嫌がっていてもやめないことが多いといいます。子供の代わりに遊びの約束をとりつけたり、子供のために大学の志願書を書いたりすることもあるようです。親はどうしても過保護になりがちですが、我が子の行動をすべて監視してコントロールすることは、子供の成長を妨げることになりかねません。
ヘリコプターペアレントになってしまった際の対処法
もし自分の親や親しい人がヘリコプターペアレントになってしまった場合は、具体的にどのように対処すればいいのでしょうか。親御さん本人は子供にとって良いことだと思い込み、自覚なく行動していることが多いため、周囲の方から働きかける必要があります。
第三者が忠告する
ヘリコプターペアレントになってしまった場合は、第三者の忠告が必要です。もし子供が悩んでいる場合は、第三者がはっきりと言葉にして言ってあげることが大切です。
専門家などに頼むこともできますが、親御さんの友人に協力してもらい、「子供が精神的に苦しんでいる」「子供を自立させてあげよう」などと、子供の気持ちを伝えることで自覚させる方法もあります。諦めずに話し合いをしていくことが大切ですので、子供を自立させる子育てをしている人が近くにいる場合は、意見を求めたり、複数で話し合いをして自覚を持ってもらうようにしましょう。
子供のことは家族みんなで考える
親が二人ともヘリコプターペアレントの場合は、子供が主張しても理解してもらえないかもしれません。ヘリコプターペアレントの疑いがある場合は、子育てに関して親戚に意見を求め、子供の将来について家族みんなで考えるように仕組みを作ることも一つの方法です。
それでも理解してもらえない場合は、大学や就職先をあえて親元から離れた遠い場所にして距離を置くこともできます。親御さんは責任感の強さ故にヘリコプターペアレントになってしまった可能性があるため、監視が厳しい場合は少し離れ、親子の距離間を見つめ直していくことも一つの方法です。