4歳児の反抗期の特徴とは?子供を幸せに導く4つの対処法についても解説 - cocoiro(ココイロ)

心身共に成長の早い幼児期。4歳の反抗期は言葉と行動が攻撃的だと言われており、子育て世代の親御さんを悩ませています。時期的なものと考え我慢すべきか、わがままはいけないと子供を厳しく躾るべきか……。当記事では、4歳児の他者との関わり方における心的発達をご説明し、反抗期を教育の上で良い機会と捉えて対処する方法をご紹介します。

4歳の子供の反抗期の特徴は?

「魔の2歳児」とはよく言いますが、幼児期の反抗期は4歳にも訪れ、多くの親御さんを悩ませています。体が小さく言葉もうまく話せない時期の反抗期とは違い、4歳児は体が大きくなった分だけ手が付けられなくなってしまうことがあり、滅多に使わない悪態をついたりすることもあります。

では、どうして4歳になると親に反抗的な態度をとるようになるのでしょうか。4歳児の心の発達の中でも、他人との関わり方における成長に注目してみましょう。

4歳は他人との関わり方が発達する時期

愛知県立大学の研究者が発表した論文「乳幼児期・児童期の発達研究の動向と展望」をもとに、4歳児の対人関係における心の発達をご説明します。

行動調整:相手が誰かによって行動を選択・調整できる

人は「相手が誰か」によって、どう行動するかを考えます。その分配行動の調整が何歳ごろから始まるのかについて調べた実験結果で、次のことが分かりました。

【行動調整の実験結果】

年齢 行動調整
1~2歳 自分の損を考えずに、相手が誰であるかにかかわらず要求に応える。
3歳 社会のルールを守り、相手を平等に扱って行動する。
4~5歳 将来の自分の利益を考えて、相手が誰であるかに応じて行動を選ぶ。
5歳 相手からの評判を気にして行動を選択したり、仲間グループをひいきするような行動をとる。

参考
乳幼児期・児童期の発達研究の動向と展望|J-STAGE、P11

上記の表より、幼児は自分と他者との関わり方の中で、周囲の目を気にした行動を取れるようになることが見てとれます。その分配行動が現れ始めるのが4歳前後で、4歳になるころには他者との関わり方の認知基盤がより確かなものとなります。

実行機能:未来の目標に向けて行動を変更できる

人は予測していなかった事態になったとき、臨機応変に行動を変更します。この行動は円滑な社会生活を送るために必要であり、自分の利益や関心を我慢することで他者を平等に扱おうとする心の発達といえます。相手のことを考えて自分が我慢をする行動が始まる時期について調べるために、「人形のお着替え遊びで、アイテムが不足している場合の子供の行動」を実験しました。

【実行機能の実験結果】

年齢 実行機能
3~4歳
(年少児)
処理手順の変更はできない。
4~5歳
(年中児)
処理手順の変更
(具体的行動)人形を着替えさせている途中で、不足しているアイテムを別のアイテムで補う。
5~6歳
(年長児)
処理手順の変更と事前計画性
(具体的行動)人形を着替えさせる前に、処理手順を変更する。

参考
乳幼児期・児童期の発達研究の動向と展望|J-STAGE、P12

つまり4~5歳になると、未来の目標に向けて行動を前もって変更・制御できるようになることが分かります。

情動調整能力:見通しを立てて感情をコントロールできる

人は普段とは違う場面に遭遇した場合であっても、未来を考えて見通しを立て、感情をコントロールして乗り切ります。特に不快な状況や問題に直面したときに感情をコントロールできるようになる時期について調べるために、「子供が歯科治療を受ける姿」を観察しました。

【実行機能の実験結果】

年齢 実行機能
3~4歳
(年少児)
不快であることを一方的に表現する。
(具体的言動)「嫌、やらない、やめて」
5~6歳
(年長児)
不快な状況や問題を認知し、分析。その上で、将来の状況を考えて行動する。
(具体的言動)「流したら終わり? ねぇ、何するの? おしまい?」

参考

乳幼児期・児童期の発達研究の動向と展望|J-STAGE、P12

つまり5~6歳になると、たとえ不愉快なことであっても、物事の見通しを立てて今の状況を位置づけ、不快感情を抑制できるようになることが分かります。

反抗する4歳の我が子。親のことが嫌いになった?

4歳の子供は、親以外の人間関係において行動を選択・制御したり、不快感情を抑制しています。つまり、4歳の子供は相手のことを考えて行動ができるようになっているのです。では、4歳児との親子関係においてはどのような変化があるのでしょうか。

反抗期は愛情確認期

子供は、親にわがままを言っても結局は許してくれることを理解しています。つまり子供にとって親とは、損得を抜きにして一緒に過ごすことのできる唯一無二の存在なのです。ある程度のわがままならば受け入れてくれるだけでなく、どんなにけんかをしていても、自分が困ったときにすぐ救い出してくれる愛情深い存在は、親以外にいません。

子供は4歳ごろになると、自分勝手に振る舞うことは良くないということに気づき、社会生活の中で行動を制御し、感情をコントロールすることで難局を乗り切る術を身につけ始めます。しかし、まだ4歳の子供ではすべてをコントロールすることはできず、不快な記憶を溜め込んでしまいます。その不快感情が4歳児の反抗期特有の態度へとつながってしまうのです。

そんなとき、この世の中で唯一甘えられる親に、行き場を失った感情をぶつけてしまうことは仕方のないことなのかもしれません。

しかし、4歳児は相手のことを考えられるまで心が発達していますので、もちろん親の傷心についても気がついています。このような反抗と反省を繰り返して、徐々に誰も傷つけないよう自分の感情をコントロールする術を確立していくのです。

子供が幸せになる子育ての極意【関心をもって見守る】

子供が4歳ごろになると、親から子への接し方が変わると言われています。子供は4歳を過ぎるころになると、日常生活のあらゆる場面で1人でできる器用さが備わる上、さまざまな知識を応用して使えるようになります。

しかし、それでも4歳の子供です。赤ちゃんのころのように先回りして手助けをしなくても良いとはいえ、すべてを放任することはできません。そのため、子供の成長を助けて自立を促すのも親の役目と考える親御さんは、親としてどこまで手助けをして良いのかが分からずに模索する時期でもあります。

では、子供が幸せになる子育てとはどのような方法なのでしょうか。

経済産業省が管轄する政策シンクタンクである独立行政法人経済産業研究所は、日本の子育てのあり方についての研究で、子育ての方法を支援型、厳格型(タイガー)、迎合型、放任型、虐待型、平均型の6タイプに分類して倫理観・幸福感・所得形成を実証しました。その結果、あらゆる点で「支援型」の子育てが望ましいことが分かりました。このことについて、独立行政法人経済産業研究所は、理想の子育てについて次のように結論づけています。

子育てを行う場合には、常に子どもを見守りながら、親子間での信頼を形成し、親子で共に時間を共有しながら、自立を促すことが重要であることを示している。支援型の子育てを一言でいうなら、「関心をもって見守る」ことであろう。

(引用元:子育てのあり方と倫理観、幸福感、所得形成 -日本における実証研究-|独立行政法人経済産業研究所、P23

つまり、子供が独立して幸せな人生を送れるようになるためには親の関心が必要で、親が見ているという安心感の中で、できるだけ自分で問題を解決していくというプロセスが大切なのです。