自己肯定感と自尊心。どちらも耳にしたことがあっても、意味はなんとなくしか知らないという人もいるでしょう。また、子供を持つ身としては、できるだけ子供の自己肯定感や自尊心を高めてあげたいものです。それぞれはどのような力であり、どうすれば高めることができるのでしょうか? 当記事では自己肯定感と自尊心の違いと、向上させる方法についてご紹介します。
もくじ
自己肯定感と自尊心とは?
子供の自己肯定感や自尊心を高めてあげるためには、まずそれぞれがどのようなものであるかを知っておくことが大切です。それぞれ順番に整理していきましょう。
自己肯定感とは
日本セルフエスティーム普及協会のホームページでは、以下のように説明されています。
自己肯定感とは自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。
(引用元:自己肯定感とは?|一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会)
自己肯定感を認識するためには、自分が自分自身をどう感じているかを受け止める必要があります。そうすることで自分の存在や自己価値を認めることにつながり、「自分は大切な存在である」と捉えるようになることができるのです。
自己肯定感が高ければ、外部からの評価によって自己の尊重度合いが揺らぐこともありません。また、自己肯定感は周りとの違いに優劣を付けることによって、自分の価値を「高い」「低い」とするものでもありません。どんな状態の自分であっても大切な存在なのだと捉えることができてこそ、自己肯定感が高いといえるのです。
自分に価値を感じられるようになれば、周りの人々のことも尊重することができるようになります。自分以外の人々を大切に思うためにも、自己肯定感は大切な感覚なのです。
自尊心とは
自己肯定感に似た意味を持つ言葉として、「自尊心」が挙げられます。自尊心という言葉の意味について、国士舘大学の北俊夫教授は「ぶんけい教育ほっとにゅーす 教育の小径」で、以下のように説明しています。
『広辞苑』などの国語辞典では「他人の干渉を排除しようとする心理・態度。プライド」などと記されていますが、ここでは、自尊心を「自分はかけがえのない存在である、価値のある存在であると思う心情のこと」と定義づけます。
(引用元:自尊心をどう育てるか|ぶんけい教育ほっとにゅーす 教育の小径)
自尊心という言葉は心理学用語ですが、その解釈には諸説あります。例えば、前述の北教授の説明によれば、国語辞典では自尊心の意味を「プライド」と説明しています。自尊心とはプライドのことであると捉えると、相手と自分を比較して、負けたくないという気持ちの表れを想像する人もいるでしょう。そのため「自尊心」という言葉を使う場合には、人によって込める意味や意図が異なる可能性があります。
しかし、北教授は自尊心という言葉について、続けて以下のようにも解説しています。
また自尊心は、友だちなど他者と優劣などの観点で比較して、価値を相対的に判断するものではありません。あくまでも一人の存在を絶対的かつ肯定的にとらえることです。その意味で、セルフ・エスティームの訳語である自尊感情や自己肯定感と類似しています。
(引用元:自尊心をどう育てるか|ぶんけい教育ほっとにゅーす 教育の小径)
解釈はさまざまありますが、自己肯定感・自尊心ともに類義語であることが分かります。どちらも自分の気持ちを安定させるために大切な感覚や心情であるといえるでしょう。
自己肯定感と自尊心の違いは?
北教授も述べているように、自己肯定感と自尊心は類似しているものです。自己肯定感と自尊心には、異なる点はあるのでしょうか?
周りと比べるかどうか
2つの微妙な違いの1つとして、周りと比べることがあるかどうか、という点が挙げられます。自己肯定感というのは、どんな状態の自分のことも受け入れ、尊重する感覚です。そのため他人が自分に対して低い評価を下したとしても、そんな自分をも受け入れることができます。
一方で自尊心は国語辞典によれば、プライドと訳すこともできるとご紹介しました。プライドを傷つけられるという言葉があるように、「自分はかけがえのない存在である」と認めていても周りから侮辱されると傷ついてしまいます。
周りと比べられた際に現れる反応の仕方は、自己肯定感と自尊心で異なるといえるでしょう。
自分1人で完結できるかどうか
自己肯定感は周りがどうあれ、どんな自分をも受け入れられるものであるとご紹介しました。その一方で自尊心は自分に関わる「誰か」の存在によって、高められたり傷つけられたりすることがあるものです。
自己肯定感には他者の存在は関係ありません。しかし、自尊心には他者が絡んでくることもあるのです。自分1人で完結できるものかどうかは、自己肯定感と自尊心の違いであるといえるでしょう。