夏休み明けの9月、新学期の時期になると子供の自殺が多くなります。厚生労働省が公表している「平成27年版自殺対策白書」では、18歳以下の自殺者において、過去約40年間の日別自殺者数をみると、夏休み明けの9月1日に最も自殺者が多くなっていることが分かります。長期休業の休み明け直後は、学校生活に対してストレスを感じている子供にとっては、大きなプレッシャーが生じやすいと考えられます。
出典:厚生労働省「平成27年版自殺対策白書」
この夏休み明けの新学期の時期に多くなる子供の自殺を防ごうと、8月19日に全国各地で「#不登校は不幸せじゃない」というイベントが開催され、約1,000人が参加したそうです。
夏休み明けの自殺から子供たちを守るために、子供の不登校について考えていきましょう。
「#不登校は不幸せじゃない」イベントでの内容
学校に通うのが辛いと感じている子供やそのパパママ、過去に不登校の経験がある人約1,000人が全国各地で一斉に開かれたこのイベントに参加しました。
このうち金沢市の会場では、イベントの発起人でみずからも不登校だった小幡和輝さんがインターネット中継で「不登校は、決して楽な道ではないけれど、不幸な道ではありません」と伝えたとのこと。現在不登校の子供は「学校に行かないことを親が受け入れてくれることで、自分自身が認められている気持ちになれた」と話していました。不登校の子供をもつママの1人も「初めは子供の不登校に悩み、学校に行ってほしいと思っていたが、『行きたくない』という子供の気持ちに寄り添うことが何より大切だと考えるようになった」と語るなど、参加者たちがお互いの体験や悩みを話し合いました。
不登校=問題児ではない
最近では文部科学省が「不登校を問題行動と判断してはならない」と明言しており、学校は行かなくてもいい、居場所はほかにもある、といった流れになりつつあります。
とはいえ、まだまだ、小・中・高・大学と詰め込み式の勉強を中心とした教育システムがスタンダードで、それ以外はマイノリティであるという空気が大半ではないでしょうか。
日本では、公立の小・中学校では学区も決められており、そこに通わなくなるとレールを外れた問題児というレッテルを貼られがちです。
一昔前は学校に行かないという選択肢がありませんでしたが、最近では「そんなに苦しいのであれば行かなくて良いよ」と多様な生き方を受け入れられる方も増えているそうです。
不登校の子供のなかには、教育支援センター(適応指導教室)やフリースクールといった民間の団体に通っている子供もいます。フリースクールは不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設で、平成27年度に文部科学省が実施した調査では、全国で474の団体・施設が確認されたそうです。
出典:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
また、不登校などの事を相談する窓口として「よりそいホットライン」というものも用意されています。子供だけでなく、パパママも相談できるようです。
よりそいホットライン
運営:一般社団法人社会的包摂サポートセンター
電話番号:0120-279-338
ホームページ:https://www.since2011.net/yorisoi/
さらに最近では「学校は行かなくてもいいー正しい不登校のやり方ー」といった本も出ています。
みんな違って、みんないい
憲法第26条第2項には「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」とあります。「教育の義務」の義務は、親が教育を保証する義務であって、子供が学校に通うことの義務ではありません。
パパママは、子供が学校に行くのを拒むなど不安に感じることがあっても、多様な生き方があることをしっかり認識して、その子にあった選択肢を見せてあげることが良いでしょう。
子供1人ひとり、多様な生き方があり、その子にはその子のレールがあるはずなのです。そう、みんな違って、みんないいのです。