専門学校でもらえる「専門士」とは
専門学校の中でも、特に要件を満たした課程を修了すると「専門士」の称号が授与されます。これはどのようなものなのでしょうか。
2年制以上の専門学校で認定される
「専門士」の称号が付与される専門学校の要件
- 修業年限が2年以上
- 総授業時数が1,700 時間( 62 単位)以上
- 試験等により成績評価を行い,その評価に基づいて課程修了の認定を行っていること
(引用元:専門士・高度専門士の称号とは|文部科学省)
専門士とは専門学校が行う専門的な教育課程で学んだことを証明する称号です。「学士」などの学位とは異なりますが、該当する分野について専門的な知識があることを保証できるものです。
短大卒業と同程度と見なされる
専門士の称号がある専門学校卒業者は、進学などにおいて短大卒業者と同等と見なされることがあります。短大は卒業すると「短期大学士」という学位が授与されますので、厳密には専門士と異なります。ただし、どちらも最低の修業年限が2年以上であることから、受けた教育の内容が似通っていると見なされるようです。
大学への編入が可能に
短期大学卒業者と同様、専門士の称号を持っている人も大学への編入学が可能になります。また、4年以上の課程を修了した「高度専門士」は大学卒業者と同等と見なされ、大学院への進学が可能になります。
高度専門士という称号が誕生したことで考えられるメリットは、まず就職活動時のアドバンテージ。4年間にわたって専門技能を修得してきた実力は、これまで以上に正しく評価されるはずです。また採用後の待遇面でも、これまで4年制大学卒の学士との間にあった格差が是正されると考えられています。もしかすると、今後は学士イコール研究者、高度専門士イコール専門技術者という区分けが明確になるかもしれません。
(引用元:高度専門士ってなに?|日本工学院)
これらの理由から、大学入試への準備が万全にできなかった学生がまず専門学校に入学し、その後大学へ編入するという事例もあります。進路の選び方として念頭に置いておくと良いでしょう。
参考
【諦めない!】専門学校から大学編入し4年間で大卒の夢を叶える方法|神田外語学院
専門学校ではどのようなことが学べる?
専門学校は主に実践的な職業教育を施す場です。そのため専門性は多岐にわたっていますが、その一部をご紹介します。紹介するもの以外にも医療・看護など専門性の特に高い学校も存在します。
工学・エンジニアリング
建築
建築業界の最重要資格・1級建築士を、卒業後2年間の実務経験とあわせ最短6年間で取得が可能です。大学と違い、1年次より建築を専門的に学習する充実のカリキュラム。建築業界の実務経験をもつ講師陣が、現場で即戦力となるプロスキルを実践的に指導します。
(引用元:4年制の専門学校で学べる学科とメリット 東京|日本工学院)
工学やエンジニアリングは大学で学ぶという印象が強い人もいるかもしれません。しかし、専門学校という選択肢もあります。大学と比較すると実習が多い、すぐに使える知識を学ぶという傾向が強いようです。
料理・製菓
服部学園では和・洋・中・製菓・製パンと学べたので、この時の幅広い経験がすごく生きているんです。海外のシェフは、桂剥きなどの日本料理の技術は知らないので、やって見せるとびっくりしますよ!
また、僕はパンの担当者が急にお休みすることになっても対応できます。目指すのは料理人だからと、製菓や製パンをまったく勉強せずに現場に行くのとは、全然違うと感じました。
(引用元:卒業生の声|調理師、栄養士の専門学校 – 服部学園)
料理や製菓は調理師免許を持たなくても目指すことが可能な職業ですが、専門学校で学ぶ人も少なくありません。有名なレストランやホテルなどへの就職をするなら専門学校を卒業した方が有利という事情があるようです。
観光・ホテル業
専門学校日本ホテルスクールの海外ホテル研修生制度はキャリアアップを目的に、海外のホテルで働くことを希望する卒業生をバックアップする制度です。海外の一流ホテルで経験を積むことで、研修終了後の就職先の選択肢が国内外に広がります。
(引用元:海外ホテル研修生制度|専門学校日本ホテルスクール@東京【公式】)
観光やホテル業界は、ホスピタリティや体力以外にさまざまなスキルが要求されます。現在では語学力も重視されます。実習が多い専門学校を卒業することでランクの高いホテルに就職することを目標にしている学生が少なくありません。
簿記・会計
簿記や会計知識は一般企業でも会計事務所などでも活用できます。まずは専門学校を卒業して実務経験を積み、最終的には士業を目指すという人もいるようです。
服飾・デザイン
1年次には、全科ごとに「業界研究」という授業を取り入れています。
スタイリスト科の授業では、スタイリストさんを、ファッションビジネス科では、バイヤーさんや店長さん、人事の方をお招きし、アパレル造形科ではデザイナーさんやマーチャンダイザーの方を。アパレル技能科では舞台衣装製作者さん…。各科ごとのスペシャリストをお招きすることで具体的なアクセス方法が実現。憧れの仕事へと近づきます。
(引用元:就職支援について|ファッション専門学校の東京服飾専門学校)
実際にデザイナーになりたい人だけでなく、アパレル業界や繊維メーカーなどで働きたいという人も専門学校に通っています。実務的な専門知識がつくため即戦力として期待されているという事情があるようです。
ただし、デザインでも特定の分野では専門学校が不利になることがあります。例えば大手広告代理店などでグラフィックデザイナーとして活躍したいのであれば、美大を進路に選ぶことをおすすめします。一方、「特に大手企業ではなくても良い」「印刷会社やデザイン事務所などでスキルを磨きたい」という人であれば専門学校で実践的な知識を身につけるのも良いでしょう。
参考
美大を出ないとアートディレクターにはなれないのか? – デザイナー・クリエイティブ職のQ&A 解決済み|【OKWAVE】
まとめ
専門学校とはどのような学校なのか? ほかの高等教育との違いは? どんなことが学べるの? という疑問について解説しました。モチベーションを保っていれば、卒業後にさらに進学することも可能です。進路選択の一つとして検討してみてください。
参考
専門学校とは?まるごとわかる!専門学校の概要|さんぽう進学ネット
海外ホテル研修生制度|専門学校日本ホテルスクール@東京【公式】