職務経歴書に志望動機を書くときの心得
続いて職務経歴書の志望動機の書き方や、書くときに意識すべき心得をご説明します。
企業情報を調べて独自のPRポイント捉えて書く
応募企業ならではの情報は事前に詳細まで調べておきましょう。このとき、経営業績が良い、残業時間が少ない職場環境である、勤務地が自宅から近いなどの曖昧な志望理由は採用担当者が納得感を得られないため避けましょう。
応募企業の強みやカラー、そして企業が注力している業務内容・戦略は、関連記事やホームページなどで頻出するワードを意識すると見えてきます。また、同業種の他社と競合している商品やサービスを比較検証したり、応募企業の業界シェアを調べたりするとさらに応募企業情報を違った視点で得ることができます。
即戦力として生かせる自分の強みを具体的に伝える
企業とは一般的に営利団体であるため、できるだけ早く大きな利益を企業にもたらす人材を求めています。つまり、即戦力として応募企業に貢献できる強みを、自分の実績・実体験と応募企業の業務内容に照らし合わせて具体的に伝えることが大切です。
そのため、応募企業の商品・サービスの愛好者であることや、0スタートなので入社後に学んで成長したいという志望動機を書くのはよくありません。
独自のPRポイントを書く際に注意したいのは、ビジネスパーソンとしての常識内かどうかを見直すことです。会社に貢献できる自己PRを前向きに書くことは採用に有利に働きますが、誇張し過ぎると単なる自慢になってしまいます。また、アピールしたいがために嘘を書くのは絶対にいけません。
採用担当者が違和感なく納得できるように、自己PRを具体的に書くようにしましょう。
責任を持って仕事に取り組む姿勢を見せる
職務経歴書には職場での在籍期間の具体的数字を書かなければなりません。このとき在籍期間が短い場合は、採用担当者に「採用しても気に入らないならすぐ辞める人だ」という印象を与える可能性があります。そのため志望動機の欄で、短い在籍期間の中でも責任感を持って仕事に取り組んだことや、短期間でも養われたビジネススキルや経験などを具体的に伝えましょう。
責任を持って仕事に取り組む姿勢を前向きに伝えたい場合は、応募企業で携わりたいポジションや業務内容を明確に書くのがおすすめです。学生時代や前職で得られた経験をもとに、ステップアップしたいと考えることは採用担当者に自分の本気度を印象付けることができます。
文章量は提出方法によって変える
「履歴書」はJIS規格で定型フォーマットが決まっているため、志望動機を書くスペースが最小限に限られています。対して、「職務経歴書」は定型フォーマットがないためボリュームや内容を自由に決めて書くことができます。志望動機の文章量は、職務経歴書内に書くか否かで決めましょう。
【志望動機の文章量のパターン】
パターン | 文章量 |
職務経歴書内に志望動機を書く場合 |
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職務経歴書とは別に志望動機書を作成する場合 | A4用紙1枚程度 |
このとき注意したいのが、履歴書に志望動機を書く欄があった場合でも、職務経歴書に志望動機を必ず書くということです。採用担当者は履歴書を人事資料として保管し、職務経歴書のみで書類審査を行う場合があります。そのため、職務経歴書に志望動機を必ず書くようにしましょう。
誤字脱字のないていねいな文字・文体で言い切る
社会人として間違いのないていねいな書類が作成できるかどうかは、職務経歴書で判断されます。そのため、志望動機に限らず、職務経歴書はていねいな文字で誤字脱字なく書く必要があります。
志望動機はほかの記入欄とは異なり文章で書きます。そのため、文章として読みやすいことも必要です。読みやすく好印象を残すために次の注意点を意識しましょう。
【志望動機の文体における注意点】
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ご参考に!ケース別の志望動機の例文
志望動機を書く目的や書き方の心得を意識しながら、採用担当者に好印象を残す志望動機を3部構成で書いてみましょう。就職・転職するケース別に具体例を300字程度でまとめていますので、ご参考になさってください。
なお、例文は3部構成が分かりやすいように改行を行っておりますが、志望動機欄の大きさによって改行せずに書いても構いません。
未経験業種へ就職・転職する場合
初めての就職活動であったり、未経験業種への転職をする場合、志望動機を書くときに「なぜこの業種を選んだのか」「なぜ異業種から挑戦しようと思ったのか」「業種経験者と比べられたときに主張できる独自ポイント」を意識して書きましょう。
【未経験業種へ就職・転職する場合の志望動機具体例】
大学卒業後、子供服・ベビー用品を扱う〇〇株式会社の〇〇店舗で販売スタッフ(接客、在庫管理、店舗VMD)を3年、〇〇店舗で店長(店舗経営マネジメント全般、新人研修など)として約3年勤務してまいりました。
顧客ニーズを直接伺い商品知識を学ぶうちに、お客様に喜んでいただけるような商品開発に携わりたいと考えるようになり、オリジナルブランドで多くの魅力的な服飾品を開発・販売をされている貴社を志望しました。 一対一の丁寧な接客から顧客目線での商品分析力を養いました。今後新たな商品を開発する上での市場調査や、周囲の人と協調して計画立案し、商品を完成させる努力を惜しみません。ぜひ、ご検討いただければと存じます。 |
同業種へ転職する場合
前職と同じ業種へ転職する場合は、「前職で芽生えた悩みから、応募企業へ求める願望」「前職で得た経験を、応募企業でステップアップさせたいという挑戦」を意識して書きましょう。
【同業種へ転職する場合の志望動機具体例】
〇〇株式会社で一般事務(会議資料作成、海外メーカー対応、顧客管理など)を2年間、経理事務(データ処理、各種伝票・帳簿作成など)を3年間経験いたしました。海外メーカーと英語でのメールや電話のやり取りを円滑に行うために英語力を磨き、現在TOEIC850点です。
英語力と経理スキルを生かした英文経理に興味を持っていますが、〇〇株式会社では海外進出が検討されておりません。そのため、今回貴社が新たに設立する海外支店での経理担当者を募集されていることを知り、ぜひ挑戦させていただきたく志望しました。 他の社員との積極的なコミュニケーションを通じて、相手の要望に先回りして対応する力を培いました。また正確なデータ処理と書類監査で信頼をいただき、経理課長を任されております。現在、国際会計検定®の資格取得に向けて勉強中です。グローバル経営を貫く貴社の姿勢に大きな魅力を感じるとともに、貴社のさらなる海外事業拡大に貢献したいと考えております。 |
一度離れた業種に戻る場合
前職で一度離れた業種に戻る場合は「なぜ別の職種から再び戻ってこようと考えたのか」を意識して書きましょう。
【一度離れた業種に戻る場合の志望動機具体例】
学生時代にアニメーションの学校に通い、卒業後アニメ制作会社にてアニメ映画の作画担当を2年間務めました。その後「映画の魅力を多くの人々に伝えたい」と同じ会社の宣伝部へ異動し、パブリシティやタイアップ、広告制作、WEBメディアの戦略などに2年間携わり、今に至ります。
しかし、作品を0から生み出す醍醐味が忘れられず、再びアニメーション制作の現場を志望することにいたしました。 貴社の制作された「〇〇」(20××年)や「〇〇」(20××年)を拝見し、丁寧な原画とそれに息を吹き込む動画に深く感動し、創り手の情熱を感じました。広告宣伝職の経験で得た企画力やコミュニケーション力を生かし、他のアニメーターとの連携を図りながら、人の記憶に残るような作品作りに取り組めればと考えております。 |
まとめ
職務経歴書に書く内容はすべて、自分のアピールポイントです。つまり「面接で詳しく聞いてほしいこと」を職務経歴書に書けば、効果的にアピールすることができます。そのため、職務経歴書の志望動機は、採用担当者に「ぜひ会ってみたい」と思わせるような前向きで納得させる文章を書きましょう。「自分だからこそ言えること」「その会社でしかできないこと」を意識して、応募企業への入社につながる志望動機を書いてみましょう。
参考
職務経歴書に「志望動機」は必要?|履歴書との違いや書き方を紹介(サンプル付き)(2018.5.30)|エン転職
職務経歴書で完璧な転職の志望動機を考える3ステップ(2019.12.1)|Career Theory
志望動機書き方のコツ。現役人事の徹底解説|en-courage
職務経歴書に志望動機は必要?選考通過する3つのチェックポイント【例文あり】|キュージェント
履歴書の志望動機・志望理由の書き方(例文付き)|リクナビNEXT
面接官の聞く「どうして転職したいの?」この素朴な質問にあなたは答えられますか?(2017.11.2)|マイナビ転職
完成度をグッと上げる 職務経歴書の 締め・終わりの言葉とは|マイナビAGENT
志望動機の適切な文字数は? ES・履歴書にまとめるコツ【300字例文付き】(2018.7.31)|マイナビAGENT