② 求人内容と自分の一致している点を列挙してみよう
求人内容を精査したら、続いては求人内容に基づいた自己アピールができるかどうかを考えてみましょう。まずは一致点を探します。
一致しているところはアピールポイントになる
先ほどの村田製作所を例に考えてみましょう。理系の学生が求人内容を見て、以下のように考えます。
「専門知識を技術職で生かすことは十分できそう。あと、求める人材像の『自らの考えに基づいて、行動を起こすことができる人』というものも自分に当てはまりそうだな。」
このように求人内容と自分の一致点はアピールポイントになります。
実例を挙げて説明しよう
自分で自分の強みを把握することは大切ですが、就職活動ではそれを相手に納得してもらう必要もあります。このときに便利なのは実例です。自分の専門知識はどのように技術職として応用可能なのかや、「自らの考えに基づいて、行動を起こすことができる人」としてのエピソードにはどのようなものがあるか、説明できる実例があるはずです。書き出してみましょう。
③ 自分に足りないところをどう補うか考えよう
求人内容に一致点が多い人でも、「この部分は自分に足りない要素だな」という部分はいくつか出てきてしまいます。自分に足りないところを自覚していることは良いことですが、さらに踏み込んで考えてみましょう。
「入社して勉強したい」はマイナス
「自分には専門知識が足りないので、入社後に勉強させていただこうと思います」という言い方はつい誰もがしてしまいがちです。しかし多くの場合、このような表現はマイナスになってしまいます。
企業で働く人には毎日の仕事があります。「勉強したい」を強調すると「しなければならない仕事をせずに勉強だけさせてもらえると思っているのかな?」と受け取られてしまう恐れがあります。
同じようなことを表現するのでも、「今自分には○○という強みがあります。これは御社の業務の■■に生かせると思います。しかし××については専門外です。これから勉強していこうと思います」と書けば印象が変わります。自分にできること・できないことを切り分けて考えられる能力があり、かつ相手企業にとってそれがどのようなメリット・デメリットになるのか理解できているとアピールできるからです。
前提として、勉強が必要な業務について企業側が学ぶ機会を設けるのは当然のことです。資格が必要であれば取得のためのサポート制度がありますし、業務の中で教わることも多いでしょう。ただし、「入社すれば教えてもらえるだろう」という受け身の姿勢でいることは、どの職種でもあまり良いことではありません。当事者意識が本人に薄い状態では身につくものが少なくなるからです。
今考えられる努力の方法について書こう
自分に足りないところを補うには、企業側のサポート制度に加えて本人の自覚と前向きな姿勢が欠かせません。現状でどのような努力ができそうか考えてみましょう。
例えば、学生の間でもできることはあります。専門分野についての知識が薄ければ一般向け入門書を読むことができますし、語学が得意でなければTOEICなどの点数を目標に勉強をすることができます。企業側は完璧な人材を求めているわけではありません。当事者意識を持って仕事に臨んでくれるメンバーを採用したいと思っているのです。
④ ここからは志望動機のこと。どうして選んだんだっけ?
ここまで求人内容と自分の現状をマッチングする作業をしてきました。最後に、自分自身の志望動機をあらためて考えてみましょう。「よく考えてみたら条件に合わない気がしてきた」という企業は、応募するか再考することも必要です。
条件・待遇に惹かれた
「奨学金返済があるので給与は○万円以上必要」「家族の事情で実家から通えるところが良い」など、人によって企業に求める労働条件・待遇は異なります。世代によっても感覚が異なるので、「最初から給与の話をするなんて」「働かせてもらえるだけで十分」などという意見を年配者から聞くこともあるかもしれません。
ただし、労働条件・待遇は働き続ける上で非常に大切です。この部分がそもそも希望と合っていないと、仕事を頑張ろうという気力も次第に湧きにくくなります。初任給が非公開になっている企業もありますが、口コミサイトなどでおおよそを知ることもできます。よく調べて応募しましょう。
社風・人に惹かれた
「会社説明会で話した社員が生き生きとしていて惹かれた」「就職した先輩から話を聞いて良い企業だと思った」など、社風や働く人に魅力を感じて応募することもあります。会社の雰囲気が自分に合っているのは毎日のストレスを軽減してくれます。
また、企業側からしても「この人はうちの社風になじみやすそうだな」と思ってもらえるというメリットがあります。該当するエピソードがある人は志望動機に盛り込んでみましょう。
自分のことばかり書かない。相手のことを考えるのが基本
自分の希望を書き出してみると意外と多いことに驚くのではないでしょうか。「給与は○円くらい欲しい。勤務地は△△地方が良い。配属部署は■■か◇◇希望。残業は月×時間まで」など、考えていけばきりがないかもしれません。
こういうときは、志望動機とは企業側と求職者側をマッチングするために書くのだという基本に立ち返ってみましょう。「この内容を読んで、うちの役に立ちそうな人材だと思ってくれるかな?」という視点を持って書きましょう。
ただし、自分が絶対に譲れない条件があるなら明記しておくことも必要です。入社後にお互いが「こんなはずではなかった」となる事態が避けられます。
⑤ 最後に文章としてまとめよう
ここまでポイントごとに箇条書きにしてきました。最後にこれを文章にまとめます。まとめるときは、順番ごとに単調に書くのではなく、何から書き始めたら相手が読みやすく、頭に入りやすいか考えましょう。
特徴的なエピソードがある人はエピソードから入ってもいいでしょう。第一志望の会社に対しては「御社が第一志望です」というアピールから始めるのも方法の1つかもしれません。自分らしく、相手が読みやすい文章を書けるように工夫してみてください。
まとめ
記入欄が大きいわりに何を書いたらいいのかよく分からない履歴書の志望動機欄。どのような企業にも応用できる書き方手順をご紹介しました。じっくりと企業の求人を読み込む必要があるので時間はかかりますが、自分と企業の相性を知るのにも役立ちます。ぜひ活用してみてください。
参考
【履歴書】志望動機欄の書き方|履歴書の書き方マニュアル完全版! 履歴書の見本(サンプル)・作成方法|マイナビ転職