接続詞はパラグラフを適切につなげるもの
接続詞は、パラグラフとパラグラフの前後関係を明確にし、論理の流れを分かりやすく示します。適切なパラグラフを適切に組み合わせなければ、筋の通った議論を作ることはできません。
とはいえ、すべてのパラグラフを接続詞で始めるべきかといえば、必ずしもそうとは限りません。使いすぎると逆に読みにくくなることもあります。大切なのは、パラグラフ間のつながりが明確であるかどうかです。
接続詞はどの程度使うべきなのか
では、接続詞はどの程度使うのが適当なのでしょうか。前出の一橋大学留学生センター石黒氏『接続詞の難しさ』によると、総文数に対する接続詞の使用割合の実態は次の通り。書き言葉の文章で最も接続詞の使用割合が多い論文でも、全体の1/4程度しか使われていません。
1位:講義(36.9%)
2位:論文(25.5%)
3位:エッセイ(13.3%)
4位:新聞の社説(12.2%)
5位:小説(10.4%)
6位:新聞のコラム(7.9%)
7位:ドラマのシナリオ(3.0%)
また、文章のジャンルによってどのような接続詞が多く使われるのか調べた結果では、論文で使われる接続詞のトップ10は次のようになっています。
1位:しかし
2位:また
3位:そして
4位:さらに
5位:たとえば
6位:つまり
7位:すなわち
8位:したがって
9位:まず
10位:そこで
石黒氏は、講義以外のジャンルではすべて逆接の接続詞がトップに来ていること、社説とコラム、論文と講義、エッセイと小説の接続詞の分布が似ていることなども指摘しています。
参考
一橋大学留学生センター 石黒圭『接続詞の難しさ』日本語教育通信 日本語・日本語教育を研究する 第37回|国際交流基金
伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏は、残しておいた方がいい接続詞として逆説の接続詞を、削っても意味が通じることの多い接続詞として「だから」「それで」「そして」「それから」「また」などを挙げています。また、その接続詞を使うことで論理が明確になったり文章にメリハリが出たりなど効果が得られる場合にも、削らずに残すことをすすめています。
参考
「接続詞」を断捨離すると、文章がグンと読みやすくなる!? | リクナビNEXTジャーナル
まとめ:読みやすいレポートを書くために
文章の読みやすさを考える場合、その種類や目的によって読みやすさが変わってくることは想像に難くないでしょう。小説や新聞記事、作文、スピーチ原稿など、それぞれ読みやすい表現も言葉の使い方も違います。レポートでは、意味がはっきり分かり論理の流れに無理や破綻のない文章が読みやすい文章です。技巧を凝らす必要はありません。パラグラフを整理し分かりやすくつなぐことを心がけましょう。そこを基本に置けば、接続詞の使い方もおのずと定まってくるのではないでしょうか。
参考
関西大学教育推進部(2015年)『レポートの書き方ガイド(基礎篇)【改訂版】』
関西大学教育推進部(2014年)『レポートの書き方ガイド(入門篇)』
関西大学教育推進部(2015年)『レポートの書き方ガイド(発展篇)』
立教大学(2018年改訂)『Master of Writing』