レポートの文章表現③:「である」調で統一する
文末表現は混ぜずに統一するのが基本ルール
現代口語文の文末表現には、大きく分けて「です・ます」調と、「である」調の2種類があります。1つの文章の中では、両者を混ぜずに統一して書くことが基本ルールです。「です・ます」と「である」を中途半端に混ぜて書くと、文章のリズム感や統一感がなくなり、稚拙な印象の文章になってしまいます。
文章を書くときには、「です・ます」調と「である」調のどちらを選んでも構わないのですが、論文やレポートでは一般的に「である」調を用います。それは、文末表現の違いで文章の雰囲気が変わってくるため、内容や目的によって使い分けるからです。
「です・ます」調は柔らかくて手紙文や童話向け
「です・ます」調には優しくて柔らかい雰囲気があり、「である」調には断定的で厳しく引き締まった雰囲気があります。「です・ます」調が使われるのは、手紙や子供向けの童話、不特定多数を対象にした広告文や記事など親しみやすさを重視した文章に多く、自伝やエッセイ、小説などでは、書き手の好みや表現したい内容によってどちらも使われます。
レポートは論理性や客観性を重視するため、柔らかさや親密さを前面に出した表現はなじみません。また、レポートの読者は、科目担当の先生やその分野を研究している人たちです。特に指定がない限り、「である」調で書くのが原則です。
レポートの文章表現④:パラグラフと接続詞を意識
パラグラフのつながりは論理的な文章のキモ
レポートの文章は、序論・本論・結論の3つの部分で構成されます。序論においてそのレポートで述べる大まかな見取り図を提示し、本論で具体的な議論や考察を行い、最後に結論で本論の議論を再確認してまとめます。
議論は、「パラグラフ」という文章の最小単位を組み合わせて作ります。パラグラフとは形式的な「段落」を指すものではなく、「1つのトピックを取り扱う、議論の最も小さなまとまり」のことを指します。適切なパラグラフを適切に組み合わせなければ、筋の通った議論を作ることはできません。パラグラフの内容を整理し、それぞれのパラグラフを論理的な流れに沿って並べる必要があります。
接続詞の役割と適切な使い方
パラグラフとパラグラフの前後関係を明確にし、論理の流れを分かりやすく示す働きをするのが接続詞です。論理的なレポートを書くためには、接続詞の意味や役割を把握し、適切に使用することが大事です。接続詞は、その役割によって大きく順接と逆接の2種類に分かれます。
順接
- 付加:主張を付け加える
- 言換:それまでの内容を言い換えたり要約したりする
- 論証:理由と帰結の関係を示す
- 例示:具体例による説明を行う
(しかも/さらに/くわえて/なお/かつ/そのうえ)
(すなわち/つまり/要するに/言い換えれば)
(なぜなら/というのも/その理由は/よって/したがって/それゆえ/だから/~ので/~から)
(たとえば/その例として/具体的には)
逆接
- 転換:ある主張の後に、それに対立する主張に乗り換える
- 制限:前の主張に制限を加える
- 対比:前の主張と対比させる
(だが/しかし/ところが/けれども/にもかかわらず/むしろ)
(ただし /もっとも/だが/しかし/とはいえ)
(一方/他方/それに対して/ところで/反対に)
すべてのパラグラフを接続詞で始めるべきかといえば、必ずしもそうではありません。使いすぎると逆に読みにくくなることもあります。大切なのは、パラグラフ間のつながりが明確であるかどうかです。適切な接続詞でつないでいるかどうか、接続詞がなくても意味が通じるかどうか、常に確認することが必要です。
まとめ
小学校から書き慣れてきた作文や感想文と違って、思ったことをそのまま書けばいいわけではないレポートは、難しく感じられるかもしれません。しかし、ルールに従って情報を整理し、議論を組み立てていけば、書くべき内容が必然的に立ち上がってくるという点では、何を書いても自由な作文より書きやすいと感じる方もいるでしょう。
とはいえ、ルールの中でどんな考察をして結論を出すかは、書き手の自由です。論理的に考え、それを文章に表現する方法を身につけたとき、学ぶことやアウトプットすることの楽しさ、喜びが目前に広がるのではないでしょうか。その世界は、大学を越えてさらに先へと続いていくでしょう。
参考
関西大学教育推進部(2015年)『レポートの書き方ガイド(基礎篇)【改訂版】』|関西大学
関西大学教育推進部(2014年)『レポートの書き方ガイド(入門編)』|関西大学
関西大学教育推進部(2015年)『レポートの書き方ガイド(発展篇)|関西大学』
立教大学(2018年改訂)『Master of Writing』│立教大学
「接続詞」を断捨離すると、文章がグンと読みやすくなる!? | リクナビNEXTジャーナル