歯学部学費&倍率ランキング
ここまでは学種別に学費の一覧をご紹介してきました。ここからは全ての学校を総合して、学費高い大学・安い大学をランキング形式でご紹介していきます。
また、大学選びの肝となる点の1つに入学試験の倍率が挙げられます。学費が安く抑えられる学校は人気が高く、せっかく受験しても1度では合格できない、ということもあるかもしれません。倍率の低い大学を狙い、且つ特待生制度を利用することができれば、総合的にかかる費用を安く済ませることもできるでしょう。そのため、今回は合わせて歯学部の倍率もランキング形式でご紹介していきます。
【学費】高い大学
学費の高い歯学部の大学上位5校をランキング形式でまとめると、以下のようになります。
順位 | 学種 | 大学名 | 6年間総合学費 |
1位 | 私 | 東京歯科大学 | ¥32,142,000 |
2位 | 私 | 日本大学(東京都) | ¥31,600,000 |
3位 | 私 | 大阪歯科大学 | ¥31,500,000 |
4位 | 私 | 日本歯科大学 | ¥31,380,000 |
5位 | 私 | 日本歯科大学新潟生命歯学部 | ¥31,380,000 |
上位5校の歯学部の6年間の学費は、すべて3,000万円を超えています。これは単純計算で年間500万円かかっていることになり、1年通うだけで国公立大学歯学部6年間の学費を超えてしまうことになります。
【学費】安い大学
反対に学費の安い歯学部の大学5校をランキングにすると、以下のようになります。
順位 | 学種 | 大学名 | 6年間総合学費 |
1位 | 国・公 | 全国公立大学 | ¥3,496,800 |
2位 | 公 | 九州歯科大学(福岡県外居住者) | ¥3,734,800 |
3位 | 私 | 朝日大学 | ¥19,181,000 |
4位 | 私 | 明海大学 | ¥19,312,000 |
5位 | 私 | 奥羽大学 | ¥21,550,000 |
6年間の学費を安い順に並べ替えてみても、1・2位と3位以降の差が著しいことがよく分かります。子供の将来を考えれば、大切なのは学費ではなく学ぶ内容かもしれません。しかしこれだけ学費の総額が異なると「なんとか国公立大学へ進学してほしい……」と考える親御さんも多いことでしょう。
【倍率】高い大学
歯学部は学費が高額であるにも関わらず、入学試験の倍率はほとんどの大学で1を切らない状態となっています。文部科学省の発表を参考にすると、2019年度の歯学部入試の倍率の高い5校は以下のようになっています。
順位 | 学種 | 大学名 | 入学定員(人) | 入試競争倍率 | 合格者(人) | 入学者(人) | 入学率 |
1位 | 私 | 昭和大学 | 96 | 5.75 | 185 | 96 | 0.52 |
2位 | 国 | 長崎大学 | 50 | 5.20 | 50 | 50 | 1.00 |
3位 | 国 | 広島大学 | 53 | 4.75 | 56 | 53 | 0.95 |
4位 | 国 | 北海道大学 | 43 | 4.64 | 44 | 43 | 0.98 |
5位 | 公 | 九州歯科大学 | 95 | 4.12 | 98 | 95 | 0.97 |
(令和元年度 各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果|文部科学省 より筆者作成)
倍率の高い歯学部をランキング形式にしてみると、上位5校中4校が国公立大学であることが分かります。もっとも倍率が高かったのは私立大学である昭和大学ですが、倍率こそ高いものの、定員の倍以上の人数に合格判定が下されています。
昭和大学歯学部の学費は、決して安い金額とは言えません。しかし、学業の成績次第では授業料の免除の対象となることが可能です。例えば「昭和大学特待制度」の対象となった場合は、初年度の授業料300万円が免除となります。
このような免除制度の対象となるべく、私立大学を志望としているという人も多いでしょう。
【倍率】低い大学
一方、倍率の低い歯学部の大学をランキング形式にすると以下のようになります。
順位 | 学種 | 大学名 | 入学定員(人) | 入試競争倍率 | 合格者(人) | 入学者(人) | 入学率 |
1位 | 私 | 松本歯科大学 | 96 | 1.08 | 148 | 85 | 0.57 |
2位 | 私 | 岩手医科大学 | 57 | 1.14 | 109 | 50 | 0.46 |
3位 | 私 | 北海道医療大学 | 80 | 1.18 | 354 | 83 | 0.23 |
4位 | 私 | 福岡歯科大学 | 93 | 1.22 | 181 | 85 | 0.47 |
5位 | 私 | 奥羽大学 | 120 | 1.39 | 131 | 44 | 0.34 |
(令和元年度 各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果|文部科学省 より筆者作成)
例えば高い倍率の国公立に合格するために、浪人するという人もいるでしょう。しかし場合によっては、実家から通うことができる私立大学に現役で合格し、特待生や奨学金の制度を利用すれば、私立の大学であっても学費を安く抑えて通うことができるかもしれません。
学力的に余裕のある倍率の高くない大学を狙って、特待生の対象となるというのも1つの手段として挙げられるでしょう。
歯学部の学費を安くする方法は?
ご紹介してきたように、特に私立大学の歯学部の学費は大変高額となっています。しかし、大学生活に必要になるのは学費だけではありません。実家から通うことができる大学であれば、子供の生活費や家賃なども抑えることができます。
しかし実際に出費の主要部分になるのは、やはり学費でしょう。歯学部の学費はどのようにして安くすればいいのでしょうか? 今回は学費を安く抑える方法を2つご紹介します。
(1)奨学金制度
奨学金制度は、学種を問わず多くの大学で導入されている制度です。貸与される金額や条件は大学によって異なり、条件に満たない場合はその年度に貸与の対象となる学生がいないという年もあります。
例えば日本大学で導入されている奨学金の一例として、「日本学生支援機構奨学金」が挙げられます。第一種奨学金の無利子貸与を利用すれば、学部生のうちは自宅通学者は月額3万円又は5万4千円の貸与を、自宅外からの通学者は3万円又は6万4千円の貸与を受けることができます。
参考
また、成績によっては貸与ではなく給付の対象となることも可能です。日本大学歯学部の場合は、2〜6年生を対象に授業料1年分相当額が半額及び図書費となる「日本大学特待生」を毎年度選考しています。初年度に対象となることができなくても、在学中の努力次第で2年次以降から奨学金を受けることができるのです。
(2)特待生制度
「貸与」である奨学金が多いのに対し、学業の成績などによって対象となる特待生の制度は「給付」であるものが多くあります。
例えば奥羽大学では、試験科目の全科目の得点が80点以上だった生徒に対して、授業料の全額免除を行なっています。年間の授業料は350万円ですので、6年間で最大2,100万円の免除を受けることができる、ということになります。こちらの特待生の対象となった場合、必要になるのは入学金の50万円のみとなります。
参考
歯科医師試験に強い大学は?
歯学部を志す学生の多くは、ゆくゆくは歯科医師試験を受けるという場合が多いでしょう。高額な学費を払うのですから、歯科医師試験への合格率が高い大学を選びたい、という親も多いでしょう。
厚生労働省では、2019年2月に行われた第112回歯科医師国家試験の学校別合格者数を発表しています。資料によれば国公立大学の中では、新卒・既卒を含めると東北大学歯学部が89.5%ともっとも高い合格率を誇っています。私立大学の中では、東京歯科大学が96.3%という非常に高い合格率となりました。
歯科医師試験の合格率は、受験校を選ぶ際に気になるポイントの1つでしょう。学費だけでなくその後の子供の将来のことを考えて、進学先を選ぶことも大切です。
おわりに
歯学部の学費は、学種や学校によって大きく異なりを見せています。国公立大学を狙う、歯科医師試験の合格率の高い私立大学を狙う、奨学金制度による授業料の減免が大きな大学を狙うなど、受験校の選び方はさまざまあるでしょう。
しかし学費以上に、校風やカリキュラム、進路指導なども大学によって大きく異なります。学費をメインに大学を選んだ結果、子供に合わず苦労してしまうということも考えられるでしょう。親の気持ちも伝えつつ、子供の意志も尊重できるような進路選択を行いましょう。
参考
令和元年度 各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果|文部科学省
【2020年度入試 最新】歯学部の6年間の学費は?国公立・私立全歯学部をご紹介|医学部受験データベース
第112回歯科医師国家試験 大学別合格者状況と今後の展望|dent wave.com