高卒で警察官に!気になる試験内容と難易度
警察官採用試験は各都道府県が独自で行っているため、試験内容は自治体ごとに異なります。ここでは警視庁(東京都)の試験内容や、資格試験対策の大手予備校・東京アカデミーの情報をご紹介しますので、参考にしてください。
【教養試験】一般知識・知能を測る
警視庁が公表している教養試験の内容は以下の通りです。
出題分野の内容は、おおむね次のとおりです。
(五肢択一式、50題、2時間)
〈知能分野〉 文章理解、判断推理、数的処理、資料解釈、図形判断
〈知識分野〉 人文科学、社会科学、自然科学、一般科目(国語、英語、数学)
(引用元:採用案内(警察官)|警視庁)
警察官の採用試験の特徴は、憲法や経済などの専門的な試験がないことです。過去問を繰り返し解くなどして、しっかり対策をしておくといいでしょう。
【作文試験】思考力・文章構成力などを見る
筆記試験の1つとして、作文(論文)試験がある自治体も多いです。警視庁では、課題式の論文試験が行われています。1つの課題で制限時間は1時間20分です。
東京アカデミーでは、高卒警察官(III類)の作文試験の課題例として以下のように書いています。
【課題例】
「人のために役に立ったこと」
「私の警察官像」
「人の暮らし方について」
「最近のニュースについて」
「ルールとマナーについて私達が考えること」
「社会人として大切なこと」
「青年、自覚、責任の3文字を使って」
「交通事故防止について」
「私の趣味」
「私が警察官を職業として選んだ理由」
※おおむね制限時間60分~90分、字数600字~1000字程度。
(引用元:地方公務員 警察官(高卒程度)の仕事・試験概要|東京アカデミー)
このほか、警視庁では職務に必要な国語力を問う「国語試験(記述式試験・20分)」を実施しています。
【身体検査・体力検査】警察官の職務に耐えられるかチェック
身体検査は、1次検査と2次検査の2度に分けて行われることが多いようです。1次検査は「身体要件を満たしているか」、2次検査では「警察官として問題なく職務遂行が可能か」を確認するために、医師による精密検査が行われます。
警察庁の採用試験で行われる身体検査内容は以下の通りです。
身体検査内容・警視庁の場合
1次検査 | 身長・体重測定 |
2次検査 | 視力検査、色覚検査、聴力検査、運動機能の検査、医師の診察、レントゲン検査、血液検査(貧血検査、肝機能検査、血中脂質等検査、血糖検査)、尿検査 |
(採用案内(警察官)|警視庁より筆者作成)
体力検査は主に2次試験で行われます。体力検査の内容は自治体により異なりますが、「四肢関節など諸機能が正常」を確認するものと、「筋力や瞬発力などの運動神経」を見るものがあります。
警視庁の採用試験で行われる体力検査は以下の通りです。
職務執行上必要な体力の有無について検査を行います。
【種目】
腕立て伏せ、バーピーテスト、上体起こし、反復横跳び
(種目は変更する場合があります。)
(引用元:採用案内(警察官)|警視庁)
【適性検査】警察官の職務を行う上での適性をチェック
警察官は犯罪に立ち向かったり、人命を預かったりする、責任ある職業です。正義感がなければ務まらないと考える人も少なくないでしょう。警察官採用試験では、2次試験で警察官としての適性をチェックする「適性検査」が行われるのが一般的です。適性検査の内容は、以下を参考にしてください。
警察官試験で行われる適性検査は、国家一般職(高卒者)などで行われる試験とは異なり、性格検査のところがほとんどです。性格検査は、クレペリン検査(数字の足し算)、YG検査(質問事項に対しYes、No、どちらでもない、で答える)がほとんどです。変わっているところは警視庁で、クレペリンとPPI(6題ぐらいの短文質問に対し3行ぐらいで回答)を課しています。
(引用元:地方公務員 警察官(高卒程度)の仕事・試験概要|東京アカデミー)
【面接試験】人物像評価を目的とした2次試験
2次試験の大きなポイントとなるのが「面接試験」です。公務員試験に詳しい元公務員ブロガーのシュンさんは自身のブログで、面接試験の重要性を主張しています。シュンさんの意見をまとめると以下のようになります。
- 警察官の試験は1次試験の突破率がかなり高い
- 筆記試験よりも面接の配点が高い
- 2次試験は面接試験がカギ。ここでどれだけPRできるかが大切
参考
警察官になるには?採用試験の1次筆記突破率は高く、勝負は面接!|次席合格の元県庁職員が語る『公務員試験対策』と『公務員のリアル』
面接試験の詳細については、東京アカデミーのホームページで以下のような記述がありました。参考にしてください。
事務系職種の試験に比べ警察官試験では面接試験で不合格になる人の割合が高く、それだけ人物本位の試験ともいえます。面接試験はだいたい1対3の個別面接で行われます。質問内容は、「どうして警察官になりたいのか」という志望動機が中心で、その他「友人について」「休日の過ごし方」「クラブ活動」「高校時代」「家族のこと」「自分の性格」「趣味・スポーツ」「時事問題」など、多岐にわたってつっこんだ質問を受けます。
(引用元:地方公務員 警察官(高卒程度)の仕事・試験概要|東京アカデミー)
【その他】漢字試験、資格による加点がある自治体も
そのほかの試験として、漢字の読み書きを見る「国語(漢字)試験」を導入している自治体もあります。また、自治体によっては、柔道や剣道などの段位や語学資格所有者に一定の加点を与えていることがあります。
参考
採用案内(警察官)|警視庁
令和元年度警察官採用試験|神奈川県警察
試験の難易度と合格率は?
警察官試験の難易度については、正式な発表がないため、正確な情報は分かりません。公務員試験に詳しい元公務員ブロガーのシュンさんは以下のように記述しています。
また、例えば県庁などでは1次の段階で多くの人数を落としますが、警察官試験の場合、1次突破者がかなり多い(受験者の6〜8割程度が1次を突破します)というのがありますので、とりあえず1次は余程点数が取れない人以外は拾っておいて、面接で差をつけるようにしているのかなというのが想定されます。
(引用元:警察官になるには?採用試験の1次筆記突破率は高く、勝負は面接!|次席合格の元県庁職員が語る『公務員試験対策』と『公務員のリアル』)
参考までに、警視庁の男女警察官(III類・高卒程度)の合格倍率(過去2年)は以下の通りです。
2018年度 | 2017年度 | |||||
受験者数 | 合格者数 | 倍率 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 | |
男性 | 2,336 | 353 | 6.6 | 2,664 | 409 | 6.5 |
女性 | 883 | 93 | 9.5 | 830 | 115 | 7.2 |
(採用案内(警察官)|警視庁より筆者作表)