埼玉大学出身者・卒業生の研究者
続けて、ノーベル賞学者の梶田隆章さんと明解国語辞典でもおなじみの言語学者、金田一春彦さんをご紹介します。
梶田隆章さん
2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんは、埼玉大学理学部を卒業しました。大学卒業後は、東京大学大学院理学系研究科に進学し、小柴昌俊さんの研究室に所属します。その後、博士課程まで修め、1986年に東京大学理学博士になっています。理学博士になった後は、東大理学部附属素粒子物理国際研究センターの助手となりノーベル賞につながるニュートリノの研究をスタートさせています。
1988年には、ニュートリノ振動を予測し、ニュートリノに質量があることを確認するに至りました。2015年にノーベル物理学賞を受賞。同年には埼玉大学フェロー、2016年には東京大学特別栄誉教授に就任しています。
金田一春彦さん
日本語研究の第一人者であり、アクセントや方言の権威である金田一春彦さんは、埼玉大学の前身である旧制浦和高等学校を卒業しています。
父の金田一京助氏も言語学者であったことから、学者を目指すことを避け、作曲家を目指して本居長世に師事しますが、学者になることを決意。日本語のアクセントや方言の研究を始めました。旧制浦和高等学校を卒業した後は、東京帝国大学文学部に入学します。
その後、国語教師に。また、三省堂から『明解国語辞典』の標準アクセント表記の依頼を受けて担当します。第二次世界大戦中は、中国人やフィリピン人に日本語を教える仕事もしています。NHKの「ことばの研究室」の常任講師やラジオアナウンサーの養成講師、名古屋大学助教授などを歴任し、1957年に『日本語』(岩波新書)を刊行、135万部のベストセラーを記録しました。その後も、多くの大学で教壇に立ち、多くの著書を残しています。
埼玉大学出身者・卒業生の作家
最後は、漫画家・作家の分野から2名の著名人をご紹介します。
貴家悠さん
2016年に伊藤英明さん、武井咲さん、山下智久さんらの豪華キャストにより映画化された大人気漫画『テラフォーマーズ』の原作者、貴家悠(さすがゆう)さんは、埼玉大学教養学部の出身です。
在学時代に、同じ埼玉大学の橘賢一さんのアシスタントをしていましたが、2011年に「ミラクルジャンプ」でテラフォーマーズの連載を開始しました。テラフォーマーズは、原作を貴家悠さんが描き、原画を橘賢一さんが担当しています。
これまでに第1部、第2部、第3部、外伝が発行されており、僅か4年半で1,000万部を突破し、映画公開前の2016年春までに1,400万部を突破している大人気コミックとなりました。
池澤夏樹さん
芥川龍之介賞、谷崎潤一郎賞、宮沢賢治賞など、小説家として詩人として高い評価を得ている池澤夏樹さんは、埼玉大学理工学部出身ですが、2年で中退しています。
大学中退後は、翻訳の仕事に従事。ギリシアに移住もしており、帰国後初の詩集『塩の道』(書肆山田)を出版しています。その6年後、長編小説『夏の朝の成層圏』(中央公論社)を発表します。1987年には『スティル・ライフ』(中央公論社)で中央公論社新人賞と芥川龍之介賞を受賞しました。
2007年には紫綬褒章も受賞しており、小説家、詩人、翻訳家など幅広い顔を持っています。