老後の生活費はいくらかかる?内訳と老後資金を準備する方法を解説 - cocoiro career (ココイロ・キャリア) - Page 2

老後の生活費における注意点

年金だけではまかなえない!

厚生労働省の発表している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、年金支給額は、国民年金が平均月額で5万5,000円、厚生年金は14万7,000円となっています。ただし、あくまで平均額であり、年金の受給金額には個人差があります。

一例として、夫婦ともに国民年金であれば11万円程度、夫が厚生年金、妻が国民年金であれば、20万円程度になる金額です。前述のとおり、1人暮らしなら約14万円、夫婦なら約22万円、ゆとりを持たせれば約34万円が必要となってきます。つまり、年金だけでは、最低限の生活費にも差が生まれてしまうのです。年金だけで、老後の生活を送るのは難しいでしょう。

参考

平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省

物価が上昇すると生活費も増える

「失われた20年」とも言われるくらい、平成初期から慢性的なデフレが続いていました。安倍内閣総理大臣も「デフレ脱却」を掲げ、さまざまな政策を講じたことにより、インフレに転じた部分もあります。

今後、「令和」になってから日本が完全なるデフレ脱却を遂げ、理想の物価上昇率2%を維持できたときに、物価上昇が家計に悪影響を及ぼすかもしれません。なぜなら、物価の上昇により、モノやサービスの価格が高くなるからです。ただし、今の年齢から60~65歳まで働くことで物価上昇にともなう所得を得られますし、物価の変動は常に起こり得るため、物価上昇率2%をずっと維持できるとも限りません。

問題があるとしたら、それは年金生活者でしょう。2004年の年金改正法案の成立によって、物価の上昇に対する「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されました。この仕組みは、仮に物価が2%ずつ上昇したとして、年金はその上昇率から0.9%を差し引いた1.1%しか上げないというものです。こういった上昇率の差異も考えに入れておく必要があります。

参考

老後の生活費27万円、貯蓄額2080万円 [定年・退職のお金]|All About

早めに老後資金を準備することが重要

定年退職を60歳として、80歳ころまで夫婦で生活すると考えると、月々24万円×12ヶ月×20年間=約5,760万円が必要です。夫が厚生年金、妻が国民年金で毎月20万円を受け取ったとしても、月4万円程度の赤字になってしまいます。月々4万円×12ヶ月×20年間=960万円を自力で貯蓄しておく必要があります。

ゆとりのある生活を望めば、さらに金額は増えていきます。若いうちは、子育てやマイホーム購入などの大きな支出で、老後の準備を後回しにしてしまうかもしれません。ですが、なるべく早い段階から老後資金を準備しておいたほうがいいでしょう。

50歳ころに子供が自立して定年までの10年間で960万円、もしくはそれ以上を貯める必要があります。30~60歳までの30年間、公的年金と同じ4.2%の金利で運用できれば、毎月1万5,000円の積み立てで、1,000万円をつくれます。無理なく貯蓄できるため、30代から早めに資金計画を立てておくといいでしょう。

参考

人生100年時代における老後不安を解消する為の準備|ファイナンシャルフィールド