心理カウンセラーになるために必要な資格
心理カウンセラーになるためには、いくつかの資格があります。そのうち、公認心理師は国家資格であり、そのほかの資格は民間資格です。それでは、それぞれの資格を見ていきましょう。
公認心理師
公認心理師は、2017年9月に施行された日本で初めての心理職の国家資格です。心理学に関する専門的な知識と技術を用い、心のケアを必要とする人の心理状態を観察・分析し、関係する他職種と連携しながら助言や指導、援助を行い、心の健康の保持・増進に貢献することを目的としています。
公認心理師になるための1つの方法には、大学および大学院の6年間で心理学の科目を履修し、資格試験に合格することです。臨床心理士と多くの項目で共通していますが、臨床心理士と違って資格を更新する必要がありません。
参考
臨床心理士
臨床心理士は、公益財団法人の日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。臨床心理学に基づく知識や技術を用い、さまざまな心理テストを行ったり、カウンセリングを行ったりして、人が心に抱える問題の解決を手助けします。1988年に資格認定が始まり、2019年4月1日の時点で35,912名の臨床心理士が認定されています。
どの大学の学部・学科を卒業していても構いませんが、臨床心理士になるためには指定の大学院・専門職大学院を修了していなければ受験資格を得ることができません。また、臨床心理士は常に専門性を向上させるために、5年ごとに資格の再認定を受ける必要があります。大学院への進学と5年ごとの資格更新があるため、専門的な勉強を続けなければならない資格です。
参考
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する資格です。資格には2種類あり、働く個人と職場(組織)を支援する「産業カウンセラー」と、その上位資格である「シニア産業カウンセラー」があります。どちらの資格もカウンセリングの基礎的スキルである「傾聴」の態度・技法を身につけ、相手の話を自分のことのように感じながら聞くことで問題解決へと導いていきます。
「メンタルヘルス対策」「キャリア開発」「職場における人間関係開発」の3つが主な活動領域となり、職場復帰のためのサポートや、働きやすい職場環境づくりに携わっています。働く人たちが上質な職業人生を送れるよう手助けすることが産業カウンセラーの使命です。
産業カウンセラーになるためには、日本産業カウンセラー協会による養成講座を修了するか、4年制大学学部または大学院で、心理学または心理学隣接諸科学、人間科学、人間関係学のいずれかの学部または専攻(課程)を卒業し、指定の科目群の単位を取得する必要があります。
参考
産業カウンセラー試験|一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
そのほかの資格
公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラーの3つのほかにも、心理カウンセラーに関する資格があります。
メンタルケア学術学会、一般財団法人生涯学習開発財団、一般財団法人ヘルスケア産業推進財団の3つの団体が認定する民間資格の「メンタルケアカウンセラー」、一般財団法人日本能力開発推進協会認定の民間資格である「メンタル心理カウンセラー」などがあります。
これらの資格は専門学科やコースがある大学や専門学校に通わず、通信講座を受講し、試験を受ければ資格を得ることができます。