太宰治賞とはいったい何?応募資格とこれまでの受賞について

昭和の文豪、太宰治。代表作である『走れメロス』は、国語だけでなく音楽の教科書に登場することもあるほど、高い知名度を誇っています。小学生の子供も知っているかもしれません。国民的作家である太宰治の名を冠した文学賞・太宰治賞についてご紹介します。

太宰治賞とは

公募型の新人文学賞

太宰治賞は、出版社の筑摩書房と三鷹市が主催する公募型の新人文学賞です。自分で自分の書いた作品を応募することができます。三鷹市は、太宰治が長い間住んだ街として知られており、この文学賞に参画しています。

「太宰治賞」は1964年に筑摩書房が創設した、小説の新人賞です。
この賞からは吉村昭、加賀乙彦、金井美恵子、秦恒平、宮尾登美子、宮本輝、福本武久の各市など、多くの作家を世に送り出してきました。
1978年、第14回を最後に中断しておりましたが、1998年、太宰治没後50年を機に、筑摩書房と三鷹市の共同主催の形で太宰治賞を復活いたしました。

(引用元:太宰治賞 | 筑摩書房

ややマイナー、でも読書家の注目度は高い!

文豪の名を冠している文学賞とはいえ、太宰治賞は文芸春秋社主催の「芥川賞」「直木賞」ほど知名度があるわけではないようです。「芥川賞」以外にも、有名な文学新人賞は、主催する出版社が文芸誌を刊行しているのが特徴です。

しかし、太宰治賞主催の筑摩書房は文芸誌を発行しているわけではありません。そのため賞の募集や受賞作品の発表などが行われても、書店や広告などで一般の人の目に触れる機会が少なくなっています。そのことが、太宰治賞がややマイナーな文学賞となっている要因であるとみられます。

一方で、一般的な文学賞とは少々性格が異なっているというところが、読書好きや出版業界からは注目されているようです。この文学賞から輩出された作家には著名な人も少なくありません。選ばれる作品のクオリティは一定に保たれていると考えていいでしょう。

同賞は筑摩書房と三鷹市が主催する賞で、既成の文学観に縛られないところがあり、識者に注目される賞である。

(引用元:【解説:西崎憲(作家)】今村夏子は何について書いているのか『あひる』 | カドブン

第34回の受賞は錦見映理子「リトルガールズ」

2018年に募集が行われた第35回は、2019年3月現在は、5月の受賞作発表の前段階。現在は最終審査が行われているものとみられます。そのため、現在読める最新の受賞作は第34回のものです。

2017年の第34回は、錦見映理子氏の「リトルガールズ」という作品が1,312編の応募作品から選ばれました。中学2年生の主人公「桃香」を中心に、ティーンエイジャーから大人までのさまざまな「少女」たちを描いた群像劇として評価されています。

選考委員の加藤典洋氏は以下のようにコメントを寄せています。

人は人を好きになると弱みができ、失うものができると弱みになる。しかし、それこそが生きるということであり、作者はよく分かっていると感じた。

本作は、今を生きる自分との対話、そして読み手との対話が十分に感じられ、親しみやすく読後感が爽やかで心地良い。

(引用元:三鷹市|太宰治賞 – 太宰が生きたまち・三鷹

中島京子氏はこう評価しています。

本作は、技術的には大きな欠点があるものの、読後感が本当に楽しくなる作品である。

(引用元:三鷹市|太宰治賞 – 太宰が生きたまち・三鷹

誰でも応募できるの?2018年の募集要項をチェック

公募型新人文学賞である太宰治賞。応募資格はどのようになっているのでしょうか。小説を書いていれば、誰でも応募できるのでしょうか? 2018年に行われた第35回の募集要項に沿ってご紹介します。

応募規定

●未発表小説に限ります。(ただし、二〇一八年中に、同人雑誌など、商業出版ではない形で発表された活字原稿は、選考の対象とします。)

●枚数は、四百字詰原稿用紙五〇枚から三〇〇枚までとします。

●活字原稿・ワープロ原稿は、文字数換算ではなく四百字詰原稿用紙に換算した枚数を明記してください。ワープロ原稿はなるべくA4判40字×30行の設定でお願いします。原稿は必ず綴じてください。

●応募作品は一人一~二篇に限ります。

(引用元:第35回太宰治賞作品募集 | 筑摩書房

一般的な新人賞と同様に、作品は未発表である必要があります。ただし、商業出版でない形で発表されたものは未発表と見なされます。同人雑誌のほか、内輪で発表したものも応募できるようです。

1人2作品まで応募できるのも大きな特徴です。すでにいくつか書き上げた作品がある場合は、複数送ってみるのもいいかもしれません。

募集期間

第35回は、2018年9月中旬に募集開始し、締め切りは12月10日(当日消印有効)となっていました。

第36回の募集に関してはまだ詳細が発表されていませんが、例年と同様、秋ごろに募集開始になると見込んでおくといいでしょう。

正賞・副賞

正賞は記念品、副賞が現金100万円となっています。また、受賞作品は何らかの形で筑摩書房から刊行されるため、小説家としてもデビューできます。