大学教授になるためのルート
大学教授になるためには、まず大学で専門分野の博士号を取得した後、助手、助教として教授をサポートし、講師、準教授へとステップアップしていくのが一般的なルートです。
分野を選択して博士号を取る
大学教授になるためには、まず大学で学部を修了して「学士」を取得します。さらに大学院に進み、修士課程に進学し、博士課程まで学びます。国や専門分野によって異なりますが、日本の場合は修士課程が最短で2年間、博士課程が最短で3年間です。学部の4年間も含めると少なくとも9年間学ぶ必要があります。
博士号を取得した後、ポスト・ドクターとして大学に残り、研究員という立場で研究を進めて論文を書く人も多くいます。ポスト・ドクターは2008年度をピークに減少傾向にありますが、2015年度時点で1万5,910人いることが分かっています。
参考
助手からステップアップしていく
博士号を取得した後は、各大学院に向けた就職活動を行います。しかし、少子化でポスト・ドクターも多い状況で、自分の専門分野で求人が出ることはまれです。また、博士号を取得してすぐ教授になれるわけではなく、初めは助手からスタートします。
大学に助手として採用されたら、地道に専門分野で実績を積んでいきます助手→助教→講師→准教授→教授の順にステップアップしていくのが一般的です。
社会人でも教授になれる
大学教授になるには、博士号を取得して助手からステップを踏むのが王道です。ただ、社会で経験を積んだビジネスパーソンを大学教授に求める需要もあります。ポイントは、「修士課程」と「論文を書く」ことです。
修士課程を修了する
社会人から大学教授になるには、高い専門知識や実務経験は必要不可欠です。また、アカデミックな基準として修士課程を修了していると教員公募に応募したときに有利に働きます。
すでに仕事をしており、修士課程を持っていない方は、通信制大学院で修士課程を受講することをおすすめします。
分野を選んで論文を書く
大学では、論文が重視されます。大学教授が講義をすることだけではなく、研究や論文の執筆も仕事に多く含まれていることからも、その重要性が分かります。
通信制大学院に進んだら、できるだけ専門分野の論文を書いて、アカデミックな実績を積み重ねていきましょう。
教員公募に応募する
修士課程の修了と論文でアカデミックな実績を積み重ねたら、教員公募に応募していきましょう。大学から教員公募が出る時期は不定期です。そのため、こまめに大学のホームページや求人サイトを確認することをおすすめします。
大学教授の平均年収
大学教授は、一般的に年収が高いイメージがあります。厚生労働省のデータを基に、大学教授の平均給与や年収をご紹介します。
年収・平均給与
平成30年賃金構造基本統計調査によりますと、大学教授・大学准教授・大学講師の給与は下記の通りです。
役職 | 年齢 | 給与額 | 年間賞与など | 年収(合算) |
大学教授 | 57.4歳 | 65万8,900円 | 288万1,700円 | 1,077万8,500円 |
大学准教授 | 48.1歳 | 53万9,900円 | 215万2,600円 | 863万1,400円 |
大学講師 | 42.9歳 | 47万400円 | 140万7,300円 | 705万2,100円 |
(※大学組織の規模が10人以上の大学の男性の場合)
(賃金構造基本統計調査 / 平成30年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|厚生労働省
より筆者作成)
大学教授は年収約1,000万円、准教授で850万円、講師で700万円ほどになります。日本の年収の中央値が350万円前後と言われていることから考えると、講師でも中央値の2倍ほど収入を得ていることが分かります。
ただ、自らの研究の費用を負担している大学教授も多く、年収の金額を全部、そのまま使えるわけではない場合もあるようです。
昇給・昇進の方法
大学教授になってから年月を経ると、「学部長」などといった役職に就くことがあります。また、助手から助教、助教から講師、講師から准教授への昇格は、研究室を持っている教授からの推薦が必要になります。推薦を受けるには、論文で評価を得て、実績を上げる必要があります。大学教授の給与は、勤務する大学によって差があります。そのため、昇給の金額も一概には言えません。