刑務官になるには?仕事内容や必要な資格、給料について解説 - cocoiro career (ココイロ・キャリア)

刑務官という職業に、どのようなイメージをお持ちでしょうか? 刑務所の巡回や監視をするだけでなく、被収容者の生活全般をケアしたり、教育に関わり更生に向けて支援するなど、さまざまな業務に携わっています。今回の記事では、刑務官になる方法や刑務官の仕事内容、給料などを解説していきます。

刑務官になるには?

刑務官になるには、刑務官採用試験に合格する必要があります。試験は法務省が毎年1回行っているもので、18~29歳の男女が受験可能です。正確には、試験年度の4月1日に17〜28歳であることが条件です。また若干名、社会人枠も用意しています。試験に合格したら、矯正研修所で初級科研修に参加し刑務官としての基本的な常識を学び、護身術を習得します。

その後、工場や居屋棟などの処遇部門、被収容者の改善指導を手掛ける教育部門、事務系の仕事など、本人の希望や資質に応じて業務内容が決まり刑務官として働き始めます。

刑務官とは?

刑務官は、刑務所・少年刑務所・拘置所に勤務する国家公務員です。勤務している施設の警備、被収容者の指導・更生に取り組むのが主な業務です。ここでは、仕事内容、必要なスキル、将来性の3つの観点から、刑務官がどのような仕事なのかをご紹介します。

仕事内容

刑務官は、被収容者の生活全般に関わるため、仕事の内容は多岐にわたります。刑務所や拘置所の管理や監督作業だけでなく、受刑者の面会所、作業所への引率や職業訓練指導はもちろん、被収容者が入っている房を巡回することや、被収容者の悩みを聞くことも仕事のうちです。

特に、少年刑務所にいる未成年に対しては、精神的なケアや教育に取り組むことが大きな仕事になります。また、死刑囚がいる場合は、死刑執行に関連する仕事も入ってきます。

必要なスキル

刑務官になるのに必要な資格はありません。国家公務員は学歴重視のイメージがありますが、刑務官は学歴による区別があまりないようです。そのため、高校を卒業している程度の学力があり、身長や体格などの条件をクリアしていれば受験できます。

また、柔道や剣道などの武道経験者やスポーツ経験者で体力に自信がある人の方が、採用において有利に働く可能性があります。

被収容者の前では毅然とした態度が求められますし、守るべき法規・規律は多くあります。ですから、基本に忠実で責任感のある人が求められる傾向があります。

将来性

刑務官の仕事は、犯罪がなくならない限りあるものと考えていいでしょう。2017年の刑務所・拘置所や少年院の収容人員は5万3,233人となっています。2008年からは年々減少傾向にありますが、刑務官の人員は不足していると言われています。

また、受刑者の高齢化が進むにつれて、刑務官の仕事内容も多くなっています。さらに、受刑者の規則違反を罰することができる「戒護権」は、人権侵害につながる可能性がある権利のため、民間に委託するのは難しい職種です。そのため、公務員としての刑務官は今後も必要な仕事の一つと言えるでしょう。

参考

第28章 司法・警察|28-10刑務所・拘置所等と少年院の収容人員|総務省統計局

刑務官になるためのルート

刑務官になるのに資格は必要ないと前述しましたが、採用試験があります。ここでは、刑務官になるためのルートをご紹介します。

高校や大学などを卒業する

刑務官採用試験では、学歴は問われません。つまり、高校や大学を卒業する必要もないと言えます。ただ、刑務官採用試験の第一次試験では、知能及び知識についての筆記試験があります。ここでは、文章理解や数的処理、資料解釈のほかに、自然科学・人文科学・社会科学の分野からの出題もあります。高校程度の基礎知識は必要になるでしょうから、高校や大学を卒業しておくに越したことはありません。

刑務官採用試験に合格する

刑務官採用試験の詳細は下の通りです。

受験可能年齢・性別 18歳~29歳までの男女

30歳~40歳までの男女(社会人区分)

受験できない者 ・日本国籍を有しない者
・国家公務員法第38条の規定により国家公務員になることができない者(禁固以上の刑に処せられたなど)
第一次試験 基礎能力試験、作文試験、実技試験
第二次試験 人物試験、身体検査、身体測定、体力測定

刑務官採用試験|人事院 より筆者作成)

体力検査では、立ち幅跳び(20秒間で男子205cm以上、女子147cm以上)、反復横跳び(男子44回以上、女子37回以上)、上体起こし(30秒間で男子21回以上、女子13回以上)が行われます。それぞれ設けられた基準に達しないものがあると不合格となります。また、視力や四肢の運動機能も身体測定で確認されます。

参考

刑務官採用試験|人事院

国家公務員採用試験に合格する

国家公務員総合職に合格して、法務省職員から刑務官になるケースもあるようです。ただ、こちらは幹部候補生になるため、刑務官採用試験合格者と異なり、管理職待遇で現場に赴くことになります。

刑務官の給料

社会的な責任がある刑務官は、一般の国家公務員よりも12%ほど給与水準の高い公安職俸給表が適用されます。ここでは、気になる刑務官の平均年収や昇給するための方法をご紹介します。

刑務官の平均年収

刑務官の給料は勤務地によって異なります。東京都特別区内に勤務する場合の初任給は約20万円となります。これに扶養手当・住居手当・通勤手当・期末・勤勉手当・超過勤務手当等が支給され年収は400万円ほどになると考えられます。初任給の手取りは18万~19万円程度となるでしょう。

勤続年数が上がるにつれて、刑務官は昇給、昇進していきます。刑務官全体での平均年収はおおよそ600万円と言われています。

参考

刑務官の給料・年収 | 刑務官など550種類の職業や仕事を紹介|Career Garden

昇給・昇進するための方法

刑務官の階級は、看守→看守部長→副看守長→看守長→矯正副長→矯正長及び矯正監、と分けられています。昇進するには、刑務官向けの研修(初等科、中等科、高等科)を修了する必要があります。

初等科研修を修了すると副看守長(主任・係長相当)まで昇進ができます。また、中等科研修を修了すると矯正副長(課長・部長相当)まで昇進ができます。そして、高等科研修を修了すると幹部である矯正監(大規模施設の所長)に昇進できます。順調に昇進すれば、採用されてから14年で看守長になることができるようです。

参考

刑務官採用試験|法務省