歯学部入試の現状
医学部や薬学部などと同じ「医療系」の学部である歯学部ですが、入試はやはり高倍率なのでしょうか? また入試のどんな科目の試験が課せられるのでしょうか?
歯学部の入試倍率
実際に行われた2018年度入試の各大学の歯学部入試の倍率は下記のとおりとなっています。
大学名 | 入学者選抜競争倍率 |
北海道大学 | 3.83 |
東北大学 | 2.75 |
東京医科歯科大学 | 3.31 |
新潟大学 | 3.73 |
大阪大学 | 2.95 |
岡山大学 | 2.90 |
広島大学 | 3.69 |
徳島大学 | 3.95 |
九州大学 | 2.09 |
長崎大学 | 3.50 |
鹿児島大学 | 3.18 |
九州歯科大学 | 4.49 |
北海道医療大学 | 1.12 |
岩手医科大学 | 1.16 |
奥羽大学 | 1.46 |
明海大学 | 2.87 |
東京歯科大学 | 4.11 |
昭和大学 | 5.13 |
日本大学 | 3.28 |
日本大学(松戸歯学部) | 2.71 |
日本歯科大学 | 4.07 |
日本歯科大学(新潟生命誌科学部) | 1.43 |
神奈川歯科大学 | 2.12 |
鶴見大学 | 1.48 |
松本歯科大学 | 1.22 |
朝日大学 | 1.67 |
愛知学院大学 | 1.53 |
大阪歯科大学 | 3.05 |
福岡歯科大学 | 1.69 |
(参照元:平成30年度 各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果|文部科学省)
全体の平均でも2.52倍と、ものすごく高いわけではないようです。医学部などになると、私立大学で倍率が低いところでも5.0倍、薬学部でも平均倍率が10倍を超える年もあるため、それらと比較すると歯学部の倍率はあまり高くないことが分かります。
歯学部の入試科目
歯学部の入試ではどのような試験が課せられるのでしょうか? 国公立と私立で異なる特徴がありますので、詳しくご紹介します。
国公立大学
国公立大学の歯学部を受験する場合、大学入試センター試験(以下、センター試験)の受験が必須となります。そのため、歯学部だからといって理系の教科のみ勉強をすればいい、というわけにはいかず、文系科目も対策を練る必要があります。
また、センター試験を「1次試験」とし、その後に実施される大学ごと独自の試験を「2次試験」とする大学が多くあります。2次試験では面接も課せられるため、筆記試験だけでなく面接での受け答えなどの対策も必要です。
センター試験 : 国語・数学・英語・理科・社会の5教科7科目
2次試験 : 数学・英語・理科 + 面接
私立大学
国公立大学とは異なり、私立大学の場合はセンター試験は必須ではありません。ただし、「センター試験利用入試」と呼ばれるセンター試験の点数で合否を判定する入試の方式を導入している大学も多くあるため、私立大学の歯学部を目指す受験生でもセンター試験を受験する人もいます。
私立大学の一般入試は大学ごとに独自の試験で実施され、1次試験として筆記試験が課せられたのち、2次試験で面接や小論文が行われるところが多いようです。
1次試験:数学・英語・理科
2次試験:面接や小論文
歯学部を卒業した後の進路
歯学部を卒業したのちは歯科医師になるしかないのでしょうか? また歯科医師になるとしても、働き口はどのくらいあるのでしょうか?
人手不足の歯科医師
歯学部を卒業したのちの進路は、主に臨床系と研究系の2つに分かれます。研究系はその名のとおり、大学院進学や研究所で勤務をして歯学についての研究を行っていきます。
他方、臨床系は歯科医師として診療所や附属の大学病院で働く道です。歯学部を卒業すると、「卒後臨床研修」が実施されます。卒後臨床研修が修了したのちには自分で開業することもできますし、他の診療所や歯学部附属の病院へ就職することも可能です。
実は現在歯科医師は不足しています。歯科診療所の数は近年、国内には7万弱あると言われており、これはコンビニエンスストアの5万弱を約2万ほど上回る数です。ですが、基本的に1つの診療所に歯科医師は1人しかいないため、歯科医師自身の高齢により閉業を余儀なくされることや、女性歯科医師の産休や育休などで突発的に歯科医師が不足する場合もあります。
したがって、歯科医師としての資格を取得し、卒後臨床研修を無事に終えられれば、どこかしらの就職先はあるというのが歯科医師の現状です。
歯科医になる以外の進路は?
歯学部を卒業して歯科医師になる以外の進路はないのでしょうか? 前述したとおり、研究職に就くという道があります。臨床医として患者さんの治療は行わず、解剖学、生理学、生化学などの基礎歯科医学を研究し、新たな治療法や予防法を見つけ出すのです。また研究職として、歯学を教える大学の先生になる人大学院に進み「博士号(歯学)」の学位をとり、より自身が専門とする分野について究めていきます。
研究職のほかにも歯科治療に関わる器具を研究・開発する会社で勤めたり、薬品メーカーの研究職や、地方自治体、国家公務員として行政に携わる人もいます。
歯科医師の活躍できる場所は歯科診療所以外にも数多くあるのです。
おわりに
少子高齢化社会の中で、歯をはじめとする口の中の健康を守る歯科医のニーズは高まってきています。子供が医療系の仕事に就くことを考えているのであれば、歯科医師を候補に入れるのも1つの手かもしれません。
参考
平成30年度 各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果|文部科学省
平成28年(2016)医療施設(動態)調査・病院報告の概況|厚生労働省
【歯学部を徹底解説!】入試の倍率は?就職率は?有名大学も紹介!|Studyplus
歯学部|Wikipedia
就職難といわれているのに歯学部の就職率が高いのはなぜ?|勤務医のための歯科医院紹介サイト
歯学部を目指す皆さんに|一般社団法人日本私立歯科大学協会