研究者を目指す4年制の内容
一方、「薬科学科」などと名前がついている4年制の課程もあります。こちらは研究者を養成する課程。薬剤師にならない替わりに、企業や大学などで薬学の専門家になることを目指します。6年制に比べると比較的自由に授業が選ぶことができ、国家試験の受験勉強をしなくて済む学生生活になります。しかし、実習の単位が取れないため、途中で薬剤師になりたくなっても受験資格を得ることができません。
6年制・4年制それぞれのメリット・デメリットとは
6年制のメリット
試験に合格さえすれば、薬剤師という国家資格を手に入れられるところが最大のメリットです。専門職であるため、日本のどこでも働くことができ、転職の機会も多く、職場を選べば給与も比較的高い職業です。6年制を卒業して薬剤師に合格した後、研究者を目指す学生もいます。
6年制のデメリット
6年間大学に通うので、学費は単純計算で一般的な4年制大学の1.5倍かかります。また、受験資格を得るために科目はほぼ必修。興味関心に合わせて好きな授業を選ぶことはあまりできません。単位を落とすと国家試験を受験できないので、少し勉強に失敗したら留年する可能性も。勉強が忙しいので、アルバイトなどもあまりできないという覚悟も必要です。
4年制のメリット
薬学の専門知識が学べて、かつ学費をおさえて4年で卒業できるのは魅力です。上記でも紹介したように、科目選択の自由度が高い大学が多いです。サークル活動やアルバイトなどもしつつ、専門知識を学びたい子供に向いていると言えるでしょう。
4年制のデメリット
1番のデメリットは、薬学の専門知識を学ぶにも関わらず薬剤師になれないことです。また、研究職になりたい学生は、卒業後大学院に進むのが一般的なようです。例えば、4年制の東京理科大学薬学部生命創薬科学科では、卒業生の92.3%が大学院に進学しています。
その場合、通学は合計で6年間になり、かかる費用は6年制とあまり変わりません。6年制を卒業した後でも研究者にはなれます。最初から大学院まで行きたいという希望があるなら、6年制を受験することも検討してみると良いかもしれません。
薬学部の入試難易度はどのくらい?
理系学部でもあるため、難関という印象が強い薬学部。上記で例に挙げた東京理科大学薬学部は偏差値高ランクの上位校です。しかし、探してみると偏差値50以下の薬学部も全国には存在しています。
大学 | 学部・学科 | 偏差値(ベネッセ) |
---|---|---|
新潟薬科大学 | 薬学部 | 50〜51 |
北陸大学 | 薬学部薬学科 | 50 |
就実大学 | 薬学部 | 49〜50 |
奥羽大学 | 薬学部 | 49 |
第一薬科大学 | 薬学部薬学科 | 46〜48 |
参考
新潟薬科大学/偏差値|Benesse マナビジョン
北陸大学/偏差値|Benesse マナビジョン
奥羽大学/偏差値|Benesse マナビジョン
就実大学/偏差値|Benesse マナビジョン
第一薬科大学/偏差値|Benesse マナビジョン
ここではベネッセの調査をもとに5大学をピックアップしてみました。大学によって偏差値に幅があるのは、入試方式(センター併用・一般入試など)によって多少の差が出るためです。
同じくベネッセの調査によると、最難関レベルの慶應義塾大学薬学部が偏差値67、東京理科大学薬学部が63〜65となっています。
大学の所在する地域さえ選ばなければ、子供の学力に合わせた大学選びはさほど難しくないと言えそうです。ただし、薬剤師の国家試験は難化傾向にあるとも言われています。卒業生の薬剤師試験合格率が非常に低い大学も存在します。子供が薬剤師になることを希望しているなら、きちんとそのための準備ができる大学なのかチェックすることは重要です。
また、私立大学の薬学部は比較的授業料が高額だったり、授業料のほかに納入金が必要だったりします。6年間でどのくらいの費用がかかるかは事前に調べておきましょう。大学によっては、成績優秀者に独自奨学金制度を設けているところもあります。授業料が高額な場合は、そのような制度を利用するのも1つの手です。