直近3回の出題内容と解答傾向
簿記2級の合格率は、昔は30~40%台に上ることもありましたが、出題範囲改定後は大体10~20%台で推移しています。新しく追加された論点から問題が出されるなど、過去問だけでは対応できない問題が増えているので、テキストをまんべんなく読み込むことも大切です。
第153回(2019年11月実施)
第153回の合格率は27.1%でした。第1問は仕訳、第2問は空欄推定、第3問は連結精算表、第4問は本社工場会計、第5問は組別総合原価計算が出題されました。第2問の空欄推定は、2級の本試験では初めての出題形式でした。第3問は難問で、実際の連結実務に近い問題が出題されました。個々の問題は2級の出題範囲内なので、長文を読みこめば部分解答はできたでしょう。第3問以外の難易度はそれほど高くなかったため、そのほかの問題で得点して合格した人が多かったようです。
参考
第153回簿記検定試験2級出題の意図・講評|商工会議所の検定試験
第152回(2019年6月実施)
第152回の合格率は25.4%でした。第1問は仕訳、第2問は銀行勘定調整表、第3問は貸借対照表、第4問は部門別計算、第5問は標準原価計算が出題されました。第2問の銀行勘定調整表は過去にも出題されているパターンだったため、正答率が7割以上に上りました。第3問は税効果会計が全面的に出題されました。正答率のばらつきが大きく、テキストをどれだけまんべんなく網羅したかが顕著に反映されました。第5問は、問題資料の量が多く、計算にどのデータを使うかの見極めが難しかったため、正答にたどり着けない受験者が多くいました。
参考
第152回簿記検定試験2級出題の意図・講評|簿記 商工会議所の検定
第151回(2019年2月実施)
第151回の合格率は12.7%でした。第1問は仕訳、第2問は株主資本等変動計算書、第3問は連結精算表、第4問は部門別計算、第5問は等級別総合原価計算が出題されました。第1問の仕訳は難問が多く、満点の20点を取れた受験者はほとんどいませんでした。第3問は問題文と資料の量が多い上、子会社が2社となっているなど、それまでとはまったく違う形式の問題だったため、手つかずだった受験者も少なくありませんでした。第4問は資料を読み取る力が問われる問題で、理解をともなわず過去問だけ解いてきた受験生は得点できませんでした。第151回は第3問が超難問だった上、第1問・第4問も一筋縄ではいかず、全体的に合格率が低迷しました。
参考
第151回簿記検定試験2級出題の意図・講評|簿記 商工会議所の検定おすすめ過去問題集と予想問題集
新論点問題集(日本商工会議所編)
簿記2級は、2016年度から2018年度にかけて試験範囲が改定され、新しい論点が追加されました。それまでは過去問と仕訳さえ押さえておけば合格が狙えたのに対し、試験範囲改定後は難易度が上がり、それだけでは合格を確かなものとすることは難しくなりました。特に、新しく追加された論点については、過去問の蓄積も少なく対策が難しいため、検定実施機関の日本商工会議所から公式の問題集『新論点問題集』が出版されました。新論点対策としてぜひ押さえておきたい一冊です。
参考
日商簿記2級新論点問題集の刊行について|商工会議所の検定試験
合格するための過去問題集(TAC出版)
本試験突破のための実践力を養うには、過去問を繰り返し解き、問題の傾向に慣れておくことが大切です。なるべくたくさんの過去問を解くには、TAC出版の『合格するための過去問題集』がおすすめです。直近12回分の過去問が掲載され、出題範囲改定後の本試験を網羅しています。また、解説がとても詳しいため、独学者にも心強い問題集です。
検定簿記講義(中央経済社)
簿記検定のテキストは資格の学校が出版しているものが多い中、中央経済社の『検定簿記講義』は、大学教授などが執筆しています。初版は1956年で、60年以上のロングセラーです。資格学校が出しているテキストよりイラストや図などが少ないので、初心者は多少分かりづらいと感じるかもしれません。しかし、すでにある程度簿記の知識が身についている人にとっては、正統派の知識を身につけるのに適しています。
スッキリとける過去+予想問題集(TAC出版)
初心者や時間のない人におすすめなのが「スッキリとける」シリーズです。合格に必要な最低限の内容がコンパクトにまとめられています。『過去+予想問題集』には、過去問6回分と予想問題3回分が掲載されています。解説はシンプルで、コンパクトながら分かりやすいと定評があります。同じシリーズで商業簿記と工業簿記の『テキスト+問題集』も出ているので、まずそちらに取り組み、仕上げに『過去+予想問題集』をやると良いでしょう。
終わりに:合格への5ヶ条
日本商工会議所が、簿記1級合格者から受験者に向けてのアドバイスをまとめた「合格への5ヶ条」を発表しています。格段に難易度の高い簿記1級合格者のコメントですが、簿記2級合格を目指す場合の心構えもまったく同じです。
第1条 毎日継続して学習すること(中略)
第2条 基礎を固めること(中略)
第3条 暗記ではなく理解すること(中略)
第4条 まんべんなく学習すること(中略)
第5条 諦めないこと
(引用元:簿記検定試験合格への5カ条|商工会議所の検定試験)
この心構えをもって十分に勉強すれば、独学者でも簿記2級合格に手が届きます。
参考
簿記2級の過去問・出題傾向を徹底分析!効果的な勉強方法は?|Foresight簿記通信講座