イエナプランという教育の考え方をご存知でしょうか? ドイツのイエナ大学で生まれ、オランダの自由な風土の中で発展した教育に関する考え方です。2022年には、広島県福山市で官民協力したイエナプランを取り入れた学校が開校予定です。また、名古屋市もイエナプランを検討しています。今回の記事では、2019年春に日本で初めてできたイエナプラン校である「大日向(おおひなた)小学校」の概要や入学案内をご紹介します。
もくじ
大日向小学校の概要
早速ですが、大日向小学校がどのような学校なのか、「基本情報」「大切にしていること」「イエナプラン」の3つの側面からご紹介します。
基本情報
大日向小学校は、廃校になった長野県佐久穂町の佐久東小学校の校舎をリノベーションして利用しています。床や天井は木で造られており、自然の温かさを感じることができる校舎です。また、教室に限らず廊下やエントランス、校庭などに子供たちの好奇心を刺激する仕掛けが用意されています。
そして、地域社会に開かれたオープンな学校であるために、ランチルームを保護者の方や地域の方が訪れることができるスペースにしています。地域の方と一緒に子供たちを育てていくこと、学校をつくっていくことを大切にしているのがよく分かります。
住所 | 〒384-0502 長野県南佐久郡佐久穂町大日向1110 |
電話番号 | 0267-81-2345 |
通学方法 |
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アクセス | 東京から車で約3時間
佐久平駅(JR東日本)から車で約30分 |
ホームページ | 大日向小学校オフィシャルホームページ |
(参照元:しなのイエナプランスクール・大日向小学校紹介 10min|YouTube)
建学の精神と大切にしていること
大日向小学校は、イエナプラン教育に基づく日本で初めての小学校で、公教育の選択肢を増やすという意義を持っています。そんな大日向小学校は、建学の精神とその考え方を下記のように示しています。
誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界をつくる。
私たちの考える「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界」とは、すべての人が「個」として大切にされ、それぞれの違いを認め合い、互いに協働することを通して世界平和に貢献する、自由と責任のある共同体です。
(引用元:建学の精神|大日向小学校)
また、イエナプラン教育に基づくということは、ヨーロッパで生まれ育ったイエナプランをそのまま日本で実践することではありません。日本の学習指導要領に基づいて、日本の教育の豊かさを生かすことで、小学校の新たな在り方・価値を提供することを意味しています。
そして、大日向小学校が大切にするのは、「自立する」「共に生きる」「世界に目を向ける」の3つです。
参考
イエナプランについて
イエナプランは、ドイツのイエナ大学の教授であったペーター・ペーターセンが1920年代に始めた学校教育です。その後、ドイツではあまり広がりませんでしたが、スース・フロイデンタールがオランダに紹介し、オランダで発展していきます。
イエナプランはメソッドではなく、人や社会、学校に対する考え方です。ペーターセンが描いた理想的な学校は、子供たちが自分の力を信じ、他者と一緒になって生きている実感を持ちながら学ぶ共同体でした。そのため、学級は集団としてみなされることはなく、個性ある1人ひとりが学び合う場所としていました。
イエナプランの特徴はいくつもありますが、その中で分かりやすいものを4つご紹介します。
- 異年齢学級
- リビングルームとしての教室
- ホンモノを学ぶ
- サークル対話
異年齢学級とは、1つの学級が隣り合う年齢のグループで構成されていることを指します。そうすることで、お互いに違いを認め合うことができますし、社会に出るための準備を行うこともできます。
リビングルームとしての教室は、自分の席が決まった場所で1つしかないのではなく、活動や学習内容に適した場があればいいという考えに基づきます。教室には、グループで学習するテーブルや作業台、リラックスできるソファやロフトなどがあります。
ホンモノを学ぶとは、答えのない問いを考えて探求していくことです。教師が知っていることを子供たちに教える、つまり答えのあるものを情報として教えることとは全く異なります。
サークル対話は、イエナプランの活動の中でも根幹をなす活動です。イエナプラン教育に基づいている学校は、教室のどこかにいつでもサークルになって座れる空間があります。そこで、お互いの顔を見ながらさまざまな活動が行われます。