学級崩壊の原因とは?立て直しのために親ができる3つのこと - cocoiro(ココイロ)

子供の通っている学校のクラスで「学級崩壊」が起こってしまったら、親としては心配で不安な気持ちになるとことでしょう。子供のクラスの学級崩壊を、親の立場から救うことはできるのでしょうか。

この記事では学級崩壊の定義や、学級崩壊が起こる3つの原因と、学級崩壊が起こってしまったときに親ができる3つのことについて解説していきます。

学級崩壊とは?

学級崩壊 立て直し

「学級崩壊」はどのような状況を意味しているのでしょうか。

学級がうまく機能しない状況

文部科学省が2000年に発表した「いわゆる『学級崩壊』について ~『学級経営の充実に関する調査研究』(最終報告)の概要~」の中では「学級崩壊」という用語は使われておらず、「学級がうまく機能しない状況」との表現が多く見られます。

「学級がうまく機能しない状況」については下記のように定義されています。

子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず,授業が成立しないなど,集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し,学級担任による通常の方法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合

(引用元:いわゆる「学級崩壊」について ~『学級経営の充実に関する調査研究』(最終報告)の概要~|文部科学省

どんなことが起こると「学級崩壊」?

現在、文部科学省などでは「これが起こったら学級崩壊であると判断する」などのガイドラインは設けておらず、現場の教員の判断によって「学級崩壊である」と判断されることもあります。では、どんなことが起こったときに「学級崩壊」と判断されるのでしょうか。

授業中に子供が歩き回る・遊ぶ

日経DUALが読者に行ったアンケートによると、「どんな状態が学級崩壊だと感じましたか」という質問に対して下記のような回答が多かったようです。

「授業中におしゃべりや立ち歩きが収まらない。勝手に外に出ていく子もいた」「児童が授業中に立ち歩き、授業にならない」

(引用元:立ち歩き、暴言暴力 小学校の学級崩壊はなぜ起こる|日経DUAL

本来は着席しているはずの授業中に教室内を立ち歩いたり、授業を聞かずに遊んだりしてしまう子供がいる状態になると、学級崩壊と判断されるようです。

暴力が横行する

子供が授業中に歩き回ったり遊んだりする以外に、下記のようなことが学級崩壊の際に起こっているようです。

「日常的に暴言暴力が横行している」「毎日、授業中に小競り合いが発生し、口げんかになり、つかみ合いのけんかが始まる。ついに流血騒ぎになり救急車を呼ぶ羽目になった」「女子に暴力を振るう男子がいる」

(引用元:立ち歩き、暴言暴力 小学校の学級崩壊はなぜ起こる|日経DUAL

また文部科学省が発表した調査結果によると、小中学校・高校における暴力行為の発生件数は63,325件。校種別に見ると中学校での発生件数は減少傾向にあるものの、小学校では2014〜17年度にかけて、右肩上がりで暴力の発生件数が増えています。

(引用元:平成29年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について|文部科学省,p7)

学校で子供の暴力行為増加に比例して、近年では学級崩壊も増えているのかもしれません。

教員の注意や指導を子供が聞かない

子供が授業中に歩き回ったり、クラス内で暴力行為が横行してしまうのは、教員の注意や指導が子供に伝わらず、聞いていない状態が当たり前になってしまっている可能性が大きいのです。それにともない、先生も苦労しているようです。

「先生がコントロールできない状況となった」「先生が休職した」

(引用元:立ち歩き、暴言暴力 小学校の学級崩壊はなぜ起こる|日経DUAL

子供が教員の注意や指導を聞かないのは、教員の「知識人」としての尊敬が以前よりも低下してきていることが原因として挙げられます。詳しくは「学級崩壊が起こる3つの原因」で解説していきます。

学級崩壊が起こる3つの原因

学級崩壊が起こる3つの原因を解説します。

環境や成長に子供が適応できないため

学級崩壊の要因として、子供が新しい環境や自身の成長に適応できていないことが挙げられます。

雑誌「発達心理学研究」に2012年に掲載された「小学校における児童の学級への適応感と学校生活との関連 : 小学生用学級適応感尺度の作成と学級別の検討」によれば、児童が学級に適応している状態にあることには、「友人との閧係」もしくは「教師との関係」の、どちらかが強く関連している学級もあるとされています。そのため、友人関係や担任の教員が変わった進級、もしくは進学のタイミングで、学級崩壊が起こる可能性が出てきます。

教員の地位が低下してきているため

文部科学統計要覧(平成30年版)によると、大学(学部)進学者数は2015年には52万8,686名と、1955年と比較すれば約6倍となっています。

親世代も大卒者が多くなり、教員への「知識人」としての尊敬の心が失われつつあるようです。親から教員への尊敬が低下し、その影響を受けた子供の教員への尊敬も低下し、教員の注意や指導に従う子供が減ってしまっているようです。

参考

学級崩壊の社会学 : ミクロ要因とマクロ要因の実証的検討|明星大学研究紀要

情報化により学校教育への興味や関心が薄いため

総務省が2018年に発表した「通信利用動向調査」によると、インターネットの個人利用状況は2001年は46.3%でしたが、最新の2017年には80.9%まで伸びています。

「学校で教えてもらわなくても、インターネットで調べれば何でも分かる」情報化社会が、授業などで学ぶ内容への興味関心を薄れさせているのではないかとしています。