5歳頃になれば幼稚園や保育園にも慣れて交友関係が広がり、日々たくさんのことを吸収しているでしょう。しかし、そんな我が子が反抗期を迎えたと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。この記事では5歳児の反抗期の特徴と、親として避けたいNG対応についてご紹介します。
もくじ
幼児の反抗期とは
反抗期には大きく分けて2種類があり、幼児期に到来する第一反抗期と思春期に到来する第二反抗期の2つに分けられます。反抗期が訪れる時期には個人差があり、幼児期の反抗期が2歳半前後で訪れる子供もいれば、思春期の反抗期が高校を卒業してから訪れるような例もあるほどです。
幼児期の反抗期というと、2歳を過ぎた頃に見られる「イヤイヤ期」を想像する人も多いでしょう。そのため、5歳になってから反抗期がくることには戸惑ってしまう親も多くいます。
どんな変化が起こる?
5歳児の反抗期の内容は、イヤイヤ期と大きく変わりません。気の乗らないことがあれば「いや!」、「やだ!」などと直接的に自分の気持ちを伝えてきます。5歳になってから反抗期がやってくる子供がいるということを知らなければ、なんで我が子だけこんなにわがままなのだろうかと頭を抱えてしまう親もいるでしょう。
ただし、イヤイヤ期とは異なる態度を見せることもあります。それは攻撃的になってしまいやすい点です。2歳の頃と比較すると、子供は格段に成長しているでしょう。ある程度筋力がつき、走ることもできたり、投げようと思えば部屋にあるさまざまなものを投げることもできるようになっています。
赤ちゃん返りとの違い
弟や妹が生まれたり、環境が大きく変わった場合、実は赤ちゃん返りをしている可能性もあります。赤ちゃん返りとは、親からの愛情が不足していると感じることから起こる行動で、大人の気を引くためにいたずらをしてみたり、自分でできるようなことであっても親にしてもらおうとしたりする甘えが挙げられます。
反抗期と比較しても、一見行動に大きな違いは見られません。しかし赤ちゃん返りをするということは、本能的に親からの愛情が足りないという不足感を感じている可能性があります。そのため、対応をいいかげんにしてしまったり、わがままだろうと放っておいたりしてしまうと自分は親から愛されていないと感じ、その後の成長に影響が出てしまうかもしれません。
4〜5歳は主張を覚える時期
4歳、5歳の幼児期の態度について、以下のような論文が発表されています。
ケンカは2〜3歳児では身体的行動が多く4〜5歳児になると言語的行動の方が多くなる。ケンカを通して所有権争い・意見対立などの社会的問題の解決の仕方、自己の主張や制御、手加減のルール、相手への思いやり、友好的関係等が身につくところが多く、大人のケンカと異なり幼児同士のケンカは発達上重要な要因を含んでいる。
(引用元:幼児期以後の発達|城西人文研究第18巻第2号)
同じ年頃の友達と遊んでいれば、時にはけんかをすることもあるでしょう。どちらか、または両方が泣いてしまうなど、結果的に親を困らせてしまうような結果になってしまうこともあります。
しかし、4〜5歳児のけんかは手法として意見の伝え合いが用いられることが多いということが分かっています。つまり、自分の気持ちを自分の言葉で主張するようになる年頃である、ということになります。
自己主張をする機会は、何もけんかだけではないでしょう。将来やりたいことやチャレンジしたい習い事など、自分の口で伝えることができるようになる年頃であることが分かります。
どんな反抗をする?
それでは、5歳の子供の反抗期にはどのような態度をとられるのでしょうか? 実際によく表れる幼児の態度をご紹介します。
すぐに怒る・泣く・暴れる
前述のとおり、5歳児は自分の言葉で自分の気持ちを伝えようと努力をし始めます。しかし自分の気持ちをどう伝えて良いのか分からず、分かってもらいたい気持ちだけが強く感情に出てしまいます。
また、自分の気持ちがうまく伝えられないことにイライラしたり悲しくなったりし、さまざまな感情が入り乱れた結果泣き叫んでしまう、ということもあります。湧き上がる感情をうまくコントロールできない場合は、物を投げたり叩いてきたりするなど、攻撃的な態度をとる子供もいるでしょう。
口調が荒くなる
家庭では気をつけていても、幼稚園や保育園などの交友関係の中で子供はさまざまな言葉を覚えてきます。なかには親の前では言葉遣いを気をつけられる子供もいるでしょう。しかし、感情が高ぶった時には、ふと普段使わないような荒い口調が飛び出してしまうこともあるかもしれません。
親としては、反抗する態度と同時に、「どこでそんな言葉を覚えてきたの?」と、言葉遣いに対しても叱りたくなってしまうでしょう。しかし、子供にとってはその言葉がなぜ悪いのかよく分かっていない可能性もあり、自分の頭の中にある一番悪そうな言葉を振り絞って意思表示をしているのかもしれません。
これはNG!対応のコツ
我が子が反抗的な態度をとってくる場合、親としてどのような対応をすれば良いのでしょうか? 避けるべきNG対応を2つご紹介します。
強く言い返す
まず、相手は我が子である以前に幼児です。強い言葉で言い返されてしまっては、理解する以前に「怖い」という感覚に圧倒されてしまうでしょう。また、「気持ちが伝わらない」、「どうしていいのか分からない」といった感情に同時に襲われ、動乱してしまう可能性もあります。なかにはストレスを感じ、その後は意見を言えない、自分の感情を抑圧するような人になってしまうかもしれません。
まずは子供の言いたいことや話を聞いてあげましょう。ある程度まで意思を出せば、その要望が通らなくても、「話を聞いてほしい」という欲求は叶えられたことになります。
叱るときに叩く
子供が反抗的な態度を示しても、手を上げるようなことは避けましょう。何か自分にとって都合の悪いことが起こったら暴力でおさえつければ良い、という風に子供が学んでしまう可能性があります。
連日のように泣きわめかれたり、物を投げられたりしてしまっては、いくらいけないことだと分かっていても、手が出そうになってしまう親もいるかもしれません。しかし、1度叩いてしまったことで、それまで精一杯かけてきた愛情を台無しにしてしまう可能性があります。
また、子供が成長した際に、自分の子供のしつけに子供を叩くようになってしまうかもしれません。大人の対応を示すためにも、手を上げたり叩いたりすることは避けた方が良いでしょう。
自己主張できることを喜ぼう
反抗されることは、親として気持ちの良いものではないでしょう。しかし、数年前までは言葉を発することも、1人で歩くこともできなかった我が子が自分で意見を言えるようになったのです。まずはその成長を喜んであげましょう。
子供の反抗に対して目を背けずに対応を続けることで、自分をきちんと見てくれている、ということに子供は気がつくでしょう。その安心感や肯定感が、反抗期の子供の態度を変えるかもしれません。感情的にならずに、まずは我が子の態度を受け止めた上で、愛情を注いでいることを少しずつ伝えていきましょう。
参考
幼児期以後の発達|城西人文研究第18巻第2号
反抗期の子どもの心の理解と対応|楡の会発達研究センター報告、その 17(08 年 1 月)