「ベイブレード」といえば、小学生男子がハマるおもちゃの代表格。しかし、ベイブレードに子供の創造力を引き出す仕掛けがちりばめられていることは、あまり知られていないのではないでしょうか。
今回は、その魅力が更に進化した第3世代「ベイブレードバースト」について、株式会社タカラトミーの社長室広報課の池澤さん、マーケティング本部ボーイズ事業部の田中さんに、親御さんにこそ知ってほしい、子供の好奇心・探究心を引き出す秘密について語っていただきました。
ベイブレードとは?
株式会社タカラトミーが1999年から展開する「ベイブレード」は、日本の伝承玩具であるベーゴマを現代風にアレンジした対戦玩具。デザイン性が高く、パーツを組み替えて改造することができ、専用の発射装置「ランチャー」で誰でも簡単に回せることを特徴とした「改造ができるバトル専用ゴマ」です。最新作「ベイブレードバースト」は、子供たちが熱中するリアルなバトルの面白さはそのままに、新しい仕掛け「バーストギミック」や最新技術のNFCチップ、クラウドシステムなどを導入し、進化しました。※2018年以降に発売した商品にはNFCチップは入っていません。
画像提供:株式会社タカラトミー
ベイブレードバーストの魅力
池澤さん:2015年から発売している「ベイブレードバースト」というのは、1999年から出しているベイブレードシリーズの1つになります。ベイゴマと同じように、ベイブレードも、相手のベイ(コマ)より長く回ったり、スタジアム(競技場)からはじき出せば勝ち、というルールでした。
「ベイブレードバースト」では、そこに相手のベイブレードを破壊したら(バーストしたら)勝ちというルールが新たに加わったというシリーズになりますね。
いずれのシリーズも世界中でヒットしており、その理由として、「ベイを戦わせて長く回ったほうが勝ち」という言語を超えたすごくわかりやすいバトルでありながら、パーツの組み合わせ次第でベイブレードの動きや性能がすごく変わってくることがあるかと考えています。
ランチャー(ベイブレードを回す器具。ベイゴマの紐の役割)のひも(またはワインダー)を引けばコマは回るけれども、自分で考えてカスタマイズすることによって、本当に色んなバトルが出来るようになるという、入り口はライトでも非常に奥深い遊び。それが世界展開している理由です。
あとは、単純にコマが激しくぶつかり合う様子が、やっぱり気持ちいいんですね。自分の回したものが自分の力でぐるぐる回っているという様子が、お子さんとしては燃えるものがあるようです。
「創造性」を生み出すじゃんけん構造
田中さん:ベイブレードの特徴といいますと、ベイというコマは全て、「レイヤー」「ディスク」「ドライバー」の3層の構造になっているんですね。そのなかでもタイプが全部で4種類ありまして。
画像提供:株式会社タカラトミー
アタックタイプは激しく動き回ってガンガンぶつかるベイになっています。スタミナタイプというのは、余り激しくは動かないんですけど、真ん中でとどまって長く回るベイです。ディフェンスタイプは、相手に攻撃されたときに壁のような刃を持っていたり、いなすように逃げるような動きをして自分を守ります。
最後は、バランスタイプで、苦手なものがない。ディフェンスも出来るし、アタックも出来ます。「モードチェンジ」で、攻撃用の動きもできるし、ディフェンスのような機能を持っているものもあります。
それぞれのタイプがじゃんけんみたいな関係になっていて、アタックはスタミナに強く、スタミナはディフェンスに強く、ディフェンスはアタックの攻撃を守り切れるという、それぞれの得意不得意がある。相手がスタミナタイプだったらアタックでいけばいいですし、相手のベイがアタックできそうだなって思ったら自分がディフェンスでいけば、性能上は上回っているという相性があるんですね。
無限の組み合わせから自分だけのベイを作る
田中さん:各タイプのベイのパーツ部分を見ていただくと、それぞれ違う形や構造になっているんです。
撮影:cocoiro編集部
上段―レイヤー 中段―ディスク 下段―ドライバー
左列―ディフェンスタイプ 中列―アタックタイプ 右列―スタミナタイプ
レイヤー
アタックタイプは、アッパー刃という、下にもぐりこんで、そのまま相手をスタジアムからはじき出せるような、大きい刃を持っていたり攻撃的な形をしているのが特徴です。
スタミナタイプは、持久力が減らないようにひっかかりを少なくした形になっています。レイヤー部分が丸みを帯びていることでスタジアムとの摩擦も軽減してギリギリまで回り続けられるような形状になっていたり、他にはレイヤーの側面がラバー素材になっていて、相手の回転を吸収するものもあります。
このアタックタイプは4枚刃で、このディフェンスタイプは12枚の刃で守り切る。レイヤーだけでもこれだけ形が違うんです。
ディスク
・アタックタイプ
撮影:cocoiro編集部
田中さん:これは、ばねが入っているものです。攻撃を受けて相手が引っかかると、横の青いパーツが横に少し動きます。それが戻るときの反動で相手を弾いて攻撃できるという仕組みになっています。
・スタミナタイプ
撮影:cocoiro編集部
次に、このスタミナタイプのものは、外側に重さが集中していて、スタミナに重要な遠心力をしっかりキープできるものになっています。
・ディフェンスタイプ
撮影:cocoiro編集部
最後に、このディフェンス系のパーツだとディスクの横に回転するパーツがついていて、攻撃を全部受け流せるようなかたちになっています。
ドライバー
ドライバーもそれぞれタイプごとに特徴があるんですが、ここがベイのタイプを決める部分です。
・アタックタイプ
撮影:cocoiro編集部
このアタックタイプは、ドライバーの軸先がすごくフラットになっているんですね、摩擦が生まれやすく、大きく動き回って攻撃しやすい。さらに銀色の部分がメタルになっていてすごく重い。
・スタミナタイプ
撮影:cocoiro編集部
このスタミナタイプは、先端が少しだけとがっていて。その一点で集中して、摩擦抵抗を低くするっていう機能がある上に、黄色のお椀になっているところがフリー回転するんです。傾いたときにここで回れるようになっている。粘りを持って、最後まで回りきれる形になっています。
・ディフェンスタイプ
撮影:cocoiro編集部
このディフェンスタイプは、赤い軸先が柔らかい素材のラバー軸になっているんですね。ラバー軸になっていると、攻撃されたときにきゅっと、グリップがきいて外にはじき出されにくい。あと、軸先が水平にフリー回転するので、攻撃を受けたときも横にくるくるって回って、攻撃をいなせるようなものになっています。
・バランスタイプ
撮影:cocoiro編集部
「バランスタイプ」は複数の動きが出来るものが多いです。
この軸先に隠れている白いラバー部分を出した状態でシュートを打つとスタジアムの真ん中でピタッと止まるんです。でもドライバーの先端を回すことで、ラバー部分が引っこむんですね。そうしたら軸先がフラット軸になるので、アタックタイプのような動きになる。
撮影:cocoiro編集部
これもバランスタイプで、軸先の重心をずらすことで、ベイの動きが変わるっていう仕組みになっています。軸がずれるので、ベイ自体が跳ねるような動きをします。ディフェンスモードと、アタックモードというように変えられるものになっています。
このようにベイのタイプによってドライバーの軸先には大きな差があります。
レイヤー、ディスク、ドライバー、それぞれのパーツはアタック、スタミナ、ディフェンス、バランスと特徴があります。この3つのパーツの組み合わせで、ベイの動きと狙いが変わってくるんです。どういう改造がいいのかを試行錯誤することが、今回のシリーズ「ベイブレードバースト」の面白さ、奥深さにも繋がっています。
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