近年では、家計の教育費の負担を軽減し、子供の進路選択の幅を広げるために教育ローンを利用する方も多いといいます。教育ローンというと、「いつか返済しなければいけないの?」「どれくらい借りることができるの?」など、さまざまな疑問が思い浮かびます。今回は、教育ローンとの概要や、奨学金との違い、種類、教育ローンが返済できない場合の対処法などについて紹介します。
もくじ
教育ローンとは?
日本では教育格差と呼ばれる社会問題が近年問題視されています。家庭の収入によって教育費に大きな差が生じ、それによって子供が教育を受ける機会が不均等になっています。教育ローンは教育の均等化や教育費による経済的負担の軽減を目的に設立されたローンです。
「国の教育ローン」は、民間金融機関の補完を旨とする政策金融機関である、日本政策金融公庫が扱う教育ローンです。昭和54年(1979年)、進学に関する家庭の経済的負担の軽減と教育の機会均等を図るため、入学費用を融資する「国の進学ローン」として取扱いが始まり、平成3年(1991年)に在学中の費用も融資の対象に追加されて「国の教育ローン」とされました。
(引用元:高校や大学などへの入学金や授業料などの負担を軽減! 「国の教育ローン」がサポートします。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン)
奨学金とはどう違うの?
奨学金とは、大学、高校などへの進学に必要な学費や生活費を支援する制度で、大学卒業後に返済する貸与型と、返済の必要がない給付型があります。奨学金は子供自身が借り、卒業後に返済するものですが、教育ローンとは主に保護者が借りることができ、保護者が返済するものになります。
奨学金は通常学校を卒業した後に返済が始まり、一方で教育ローンは通常借りた直後から返済が始まります。奨学金を借りた場合は子供が社会人になってほどなく返済がスタートするため、将来のための貯金を積み立てるのが大変になり、一方で教育ローンを借りた場合は保護者の方の貯金額に大きな影響を及ぼします。親子で話し合いをしてどちらを借りる方が負担が少ないのか判断し、決めることが望ましいでしょう。
教育ローンの種類は主に2つ
教育ローンには、大きく分けて日本政策金融公庫による国の教育ローンと、銀行や信用金庫などの民間の金融機関による民間の教育ローンの2種類があります。どちらも資金の使用用途が教育関連費用に限定されていることが特徴となりますが、審査にかかる時間や借入限度額に違いがあります。それぞれの特徴を理解してから選ぶようにしましょう。
国の教育ローンの特徴
国の教育ローンは、金利が民間の教育ローンよりも低い傾向にあります。子供が在学中は利息のみの返済も可能なので返済計画が立てやすく、母子家庭や父子家庭、さらに交通遺児家庭や世帯年収が200万円以下の場合は、金利の軽減や返済期間の延長などの優遇制度を受けることができます。
審査にかかる時間は民間の教育ローンよりも多く、最短で10営業日、申し込みが多い1~3月の場合はさらに時間がかかるといいます。借入限度額は350万円となりますが、海外留学など、外国の教育施設に3ヶ月以上在籍する場合は450万円まで借りることができます。
子供の人数や世帯年収の上限額など、申込条件が定められており、学校の種類によっては対象とならない場合もあるため、あらかじめ確認するようにしましょう。
参考
民間の教育ローンの特徴
民間の教育ローンは、さまざまな種類がありますが、国の教育ローンよりも審査が早く、借入限度額が国の教育ローンよりも多いという特徴があります。しかし、金利が比較的高めで借りた翌月から返済が始まることが多いため、返済が負担になりすぎないか、よく考えて選ぶのがいいでしょう。
前年度の年収や勤続年数などによっては借入金額や返済期間が異なる場合があるため、返済計画についてよく考えてから選ぶようにしましょう。