2003年に開校され、6~20歳までの生徒、約70人が通っているスマイルファクトリー。大阪府池田市にあり、日本初の公設民営のフリースクールとして注目を浴びています。
今回の記事では、スマイルファクトリーの基本情報や活動内容をご紹介していきます。子供がうまく学校に馴染めていない、学校の枠組みに収まれないと感じているなら、子供の将来を切り開く一助になるかもしれません。
もくじ
NPOトイボックス運営のスマイルファクトリーとは?
そもそも「公設民営」や「フリースクール」という言葉を耳にはするものの、説明するのは難しいのではないでしょうか? まずは、公設民営フリースクールのスマイルファクトリーの概要をご紹介していきます。
公設民営とは?
公設民営とは、公立学校と同じように市町村が設置しますが、運営は民間の団体が行う公立学校のことを指します。
2013年11月に閣議決定された国家戦略特別区域法案で「公設民営学校」が可能になりました。当時の下村文部科学大臣は発表の際に、アメリカのチャータースクールをイメージしていると話しています。
2019年4月に開校した大阪市立水都国際中学校・高等学校は、大阪市が設置していますが、運営は大阪YMCAが行っており、国際バカロレアの授業導入や英語教育に力を入れているのが特徴です。
(参照元:下村文部科学大臣会見(平成25年11月5日)文部科学省|YouTube)
参考
フリースクールとは?
フリースクールは多様な形を持っており、一概に規定することは難しいです。日本での一般的な解釈では、個々の理由で学校に通えなくなった子供を受け入れている非学校的な施設です。
「自由」という意味合いでは、従来の教育方法とは異なるオルタナティブな教育を行っているシュタイナー学校やイエナプラン学校などをフリースクールと呼ぶこともあります。
また、「無料」という意味合いで、人道主義に基づいて低所得者のために無料で授業を提供する、アメリカのフリースクール協会に加入している学校などがあります。
スマイルファクトリーは、学校に通えなくなった子供を受け入れているという点ではフリースクールと言えるでしょう。ただし、公設民営学校のため、池田市在住の小中学生であれば授業料が無償になったり、出席日数が換算される点が異なっています。
スマイルファクトリーの成り立ち
スマイルファクトリーが開校した2003年当初は、池田市教育会館の一室を借りて、相談事業と不登校生のための週4日のスクーリングを行っていました。その後、池田市立山の家に拠点を移し、2004年4月よりスマイルファクトリーとしてスタートしています。
このころから活動拠点として、廃校になった旧伏尾台小学校を利用しています。また、2007年に「スマイルファクトリーハイスクール」が開校されています。
2009年度には、相談・スクーリングは合計8,136件にのぼっており、多彩なスタッフが中心となり安心安全な居場所を子供たちに提供しています。
参考
スマイルファクトリーのビジョン
スマイルファクトリーのホームページにひときわ大きな文字で掲載されている言葉が、スマイルファクトリーのビジョンをよく表しています。
ありのままの君でいい。
ありのままの自分でいい。
(引用元:スマイルファクトリー | NPO法人トイボックス)
お互いがお互いのありのままを認めあうことをとても大切にしており、「ありのままの自分でいい」と思えるような居場所がスマイルファクトリーです。
また、文部科学省による「活動の目的・趣旨」が下記のように述べられています。
年齢、性別、障害の有無、国籍等を問わず広く自己の研鑽と発達を求める人々に対して、人格や個性や才能や学力などの多様な教育環境の提供や、スポーツや芸術、エンターテイメントの活動を通じての自己表現、自己実現の機会の提供に関する事業を行い、世界との交流の中で学校教育、社会教育の発展、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
(引用元:特定非営利活動法人 トイボックス|文部科学省)
多様性が求められる現在の学校で、多様性に合った居場所を提供している学校の1つと言えるでしょう。
スマイルファクトリーのスタッフ
スマイルファクトリーの学校長を務めるのは、教育改革をテーマに国内外の学校現場を調査したり教育委員会で働いたり、講師として授業を行ったりしてきた白井智子さんです。1999年に沖縄のフリースクールの立ち上げに参加し、2年半校長として務めていました。その後、スマイルファクトリーを立ち上げ、現在まで代表として関わり続けています。
また、校長の白井さん以外のスタッフ陣も、航空機の元整備士、臨床心理士、元バスケットボール選手、塾の先生、現役の高校国語教員など、多彩な経歴や考え方を持った方が集まっています。だからこそ、1つのやり方ではなく、多様な価値観を受け入れる余裕があるのかもしれません。