「財務部」と聞いて、どのようなイメージをするでしょうか？ 出世するエリートには財務部出身の人物が多い気がする、お金を扱っている、経理との違いが分からない……など、ぼんやりとしたイメージしか浮かばないのではないでしょうか。そこで、今回の記事では、財務部の仕事内容を分かりやすく解説していきます。また、必要なスキルにも触れていますので、職種を選ぶときの参考にしてください。
もくじ
財務部の仕事内容
財務部の仕事内容は、大きく分けて3つあります。財務部は、企業のこれからの活動には欠かすことができない仕事をしています。「お金」を中心に考えると、財務部の仕事内容が見えてきます。
財務戦略の立案・実行
資金調達は、財務の仕事の中でもイメージしやすいものです。企業が経済活動をするためには、資金が必要です。また、資金調達の前には、どのくらいの資金が必要なのかを把握する必要があります。資金不足に陥ってしまうと、企業は成長することができません。
どのくらいの資金が必要か分かったら、資金をどうやって得るかを考えます。NPOやNGOのような利益を追求しない組織であれば、クラウドファンディングなどで寄付を募るのが財務の仕事に当たるでしょう。経済活動をしている一般的な企業であれば、投資家にアピールしたり、銀行で資金を提供してもらうのが一般的です。この一連の作業を計画し、計画通りに実行するのが財務部の腕の見せどころです。
監査法人対応
金融商品取引法や会社法に基づき、監査を受ける必要があります。監査とは、会社の財務に関する数値や指標が適切であるかを確認することです。公認会計士で構成される監査法人への対応は、財務部、もしくは経理部が担当します。
監査法人は、企業のスタッフとヒアリング、ディスカッションを交わしますので、それらに対応します。また、必要な書類を監査法人に提出しなければなりません。定期的に会社の財務が適切に行われているかを確認する機会と考えることはできるでしょう。
ガバナンス
ガバナンスとは、「統治・支配・管理」を指します。広い意味がありますが、ここでは企業が違反を犯さないために守るべきルールのことです。財務部は、粉飾決算が起きないようにするため、うその領収書を提出させないよう、不正な取引を防ぐためにルールを定めています。
会社内でのガバナンスがきちんと構築されていないと、株主や世間から信用を失ってしまう可能性もあります。社会的責任が強調されるようになった現代では、ガバナンスを守る重要性は高まっていると言えるでしょう。
財務部の会社内の役割
財務部は、会社の未来を担う立場といえます。財務部は会社の「酸素」に当たる「資金」を扱っています。「酸素」がなければ人は行動できません。それと同じで「資金」がなければ会社は事業を展開することができません。また、企業規模が大きければ大きいほど、財務部を重要に考える傾向があります。中小企業であれば、経営陣が財務の仕事をしている場合もあります。それほど、会社で財務部が果たす役割は大きいと言えるのではないでしょうか。
経理部との違い
同じお金を扱う部署でも「経理部」と「財務部」の仕事内容は異なります。
財務部は、仕事内容や役割から、会社が将来持つであろうお金を扱うのが主な仕事でした。それに対して、経理部は、日々のお金の出納管理を行うのが主な仕事です。具体的には、社員が出張で使った経費を精算したり、銀行に行って振り込みや預金を行ったり、現金や預金の確認をします。
また、月ごとの仕事としては社員の給与計算と支払い、月次決算の作成などがあります。給与計算に関連して、税法や労働法の知識が必要になります。年間を通して考えると、決算書の作成、賞与計算と支払い、納税申告、年末調整などの業務があるため、年末と年度末、年度初めは仕事量が多くなるのが一般的です。
経理部の仕事内容は、こちらのページで詳しく解説しています。
財務部は出世コース？会社内のポジション
財務部に所属すると、将来の出世につながるのでしょうか？ 財務部は、企業の資金調達やガバナンスなど、経営者と非常に近いところで仕事をします。会社にある部署は全て必要ですが、財務部は経営に近いという意味では、「マネジメントをする役割」、すなわち出世につながる可能性があるでしょう。
また、dodaのデータによると財務の平均年収は524万円となっており、日本人の平均年収が432万円（2017年）ということを考えるとかなり高いことが分かります。給与の面から考えても、財務部の仕事内容に価値があると考えている企業が多いことが分かります。
参考
平均年収ランキング 最新版（166職種の平均年収／生涯賃金）｜doda
