ノーベル生理学・医学賞とは?選考方法・日本人や歴代の受賞者は?

「ノーベル医学賞」と省略されたり、「ノーベル医学・生理学賞」と呼ばれたりすることもある「ノーベル生理学・医学賞」。知っているようで知らない歴代の受賞者やその研究について調べてみました。

ノーベル生理学・医学賞とは?選考方法は?

世界的な権威と言っても過言ではないノーベル賞。ノーベル生理学・医学賞の対象になる研究や、受賞者はどのようにして選ばれるのでしょうか。

ノーベル賞5分野+1分野のひとつ

ノーベル賞には、創設当初から存在する「物理学」「化学」「生理学・医学」「文学」「平和」の5分野と、後年新設された「経済学」の1分野があります。総称して「5分野+1分野」と呼ばれたり、「6分野」とまとめられたりします。ダイナマイトの発明者であり、「ダイナマイト王」とも呼ばれたスウェーデン人アルフレッド・ノーベルが、遺言で創設することを命じました。以下はノーベルの遺言の一部です。

「私のすべての換金可能な財は、次の方法で処理されなくてはならない。私の遺言執行者が安全な有価証券に投資し継続される基金を設立し、その毎年の利子について、前年に人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする。」

(引用元:爆発から生まれたノーベル賞 | 日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ

ノーベル賞は「ノーベル財団」という基金が運営し、スウェーデンにある各研究機関が受賞者の選考を行っています。平和賞のみ、ノルウェー国会が運営しています。ノーベル生理学・医学賞は、「カロリンスカ研究所」が選考を行います。「カロリンスカ医科大学」と呼ばれることもある、大学としての機能を持った医学の研究施設です。

2018年は本庶佑氏が受賞

2018年は京都大学の本庶佑氏がノーベル生理学・医学賞を受賞しました。アメリカのジェームズ・P・アリソン氏との同時受賞となっています。日本人としては、2年ぶり5人目のノーベル生理学・医学賞となりました。

この2人の研究は、「免疫チェックポイント阻害剤」開発のきっかけとなり、がん治療に新しい手法をもたらしました。これまでがんの治療法は「手術」「放射線」「抗がん剤」の3種類だけでした。免疫チェックポイント阻害剤による「免疫療法」が導入されて、これまで手段がなかった患者への治療の道が開けたそうです。

簡単に2人の研究についてご紹介します。体の中にがん細胞ができると、通常であれば免疫ががん細胞を攻撃して破壊しようとします。しかし、がん細胞は免疫細胞をだまして増殖を続けたり、免疫細胞の攻撃をブロックしたりします。つまり、免疫細胞の働きには「ブレーキ」をかけることができて、ガン細胞はこの「ブレーキのかけ方」を知っているのです。一度がん細胞によってブレーキがかけられてしまうと、免疫細胞はがん細胞を攻撃することができなくなってしまいます。

一度かけられたブレーキを外して効かないようにすれば、免疫細胞は再びがん細胞を攻撃しはじめます。ブレーキには種類がいくつかあり、本庶氏とアリソン氏はそれぞれ別のブレーキを発見しました。本庶氏の発見は「PD-1免疫チェックポイント阻害剤」の「ニボルマブ(商品名はオプジーボなど)」に、アリソン氏の発見は「CTLA-4免疫チェックポイント阻害剤」の「イピリムマブ(商品名はヤーボイなど)」になりました。

選考方法は50年後まで秘密!

このように、ノーベル生理学・医学賞は生理学や医学の分野において大きな貢献をした研究に贈られます。2018年の場合は、本庶氏とアリソン氏が免疫チェックポイントという同じ分野でそれぞれ研究をしていたため、同時受賞となりました。

ノーベル委員会は、毎年各国の専門家に協力を依頼して受賞にふさわしい人物・研究の推薦状を送ってもらいます。その中から最終候補を決めて、カロリンスカ研究所が受賞者を決定しています。しかし、「誰が推薦状を送ったのか」「推薦されたのは誰か」「最終候補には誰が残っていたのか」などは、50年が経たないと公開されないことになっています。しかも、この資料は誰でも閲覧できるわけではなく、科学史などが専門の研究者でなければいけないことになっています。

ただし、「物理学」「化学」「生理学・医学」の自然科学3賞は、「その研究を最初に行った研究者」に賞を贈ることにこだわって選考していることが知られています。日本人だと、2002年に「島津製作所」の1従業員であった田中耕一氏がノーベル化学賞を受賞し、ノーベル委員会の調査能力とともに大きな話題となりました。

全世界注目のノーベル賞 どう決めるの?|働き方・学び方|NIKKEI STYLE
ノーベル賞はどのように決まる?~選考の仕方や日本の研究環境の課題を知る | nikkei4946(全図解ニュース解説)
[SHIMADZU] 田中耕一ノーベル賞受賞関連情報 | 株式会社島津製作所